樹木希林、“息子”阿部寛のダメ男っぷりに「私の周りにもっとすごいのいる」
2016年4月24日 18:47
[映画.com ニュース]「海街diary」の是枝裕和監督最新作「海よりもまだ深く」の完成披露試写会が4月24日に開催され、是枝監督をはじめ、主演の阿部寛に真木よう子、吉澤太陽、樹木希林がそろって舞台挨拶に登壇した。
大人になりきれない男と年老いた母を中心に、夢見ていた未来とは違う現在を生きる家族の姿をつづった人間ドラマ。阿部は、ギャンブルに興じながら探偵として働く作家崩れの中年男で、妻にも見限られた良多を演じる。
「歩いても 歩いても」「奇跡」、連続ドラマ「ゴーイング マイ ホーム」と是枝作品に出演してきた阿部は「ここまでダメダメな男は初めて。でも、どこか憎めずかわいいと思いながら、楽しんで演じていました」と明かす。「歩いても 歩いても」「ゴーイング マイ ホーム」に続き役名は“良多”だが「チャーミングで、これが一番好きな役になった」とも。「多かれ少なかれ、ダメなところは(自身にも)たくさんあり、共感しました。セコいところや弱いところが好き」と愛着を口にする。
ダメな息子をそれでも愛する母を演じた樹木は、登壇時のトーク中も母親のように阿部にたびたび干渉。本作が第69回カンヌ映画祭に出品されることに触れ、阿部がカンヌに「プライベートでは行ったことがありますが」と言うとすかさず「誰と行ったの?」と口をはさみ、巨躯の阿部にとっては広いとは言えない団地の一室での撮影について「うちの息子はあんな団地の小さな風呂じゃなく、ローマ風呂に入ってたし、エベレストにも行ってたんだから!」と語り、笑いを誘う。さらに良多が“ダメ男”と言われることについて「芽が出ないのは世間のせい! ダメじゃないの。私の周りにももっとすごいのがいっぱいいますから」とかばい、会場は爆笑に包まれた。
また、トークの中で人生のターニングポイントの話題となると、阿部は俳優の仕事を始めた時を挙げ「まさかこの仕事に就くと思わなかったし人生が変わった」と述懐。樹木は、子どものころは自閉症だったことを明かし「この仕事をやるとは思ってなかったし、なりたい大人になれたわけじゃない。ズルズルと女優を続けてきたけど、12年くらい前にガンに出会って『この先を計算できる生き方をしないと』と思ったのがターニングポイント」と語った。
カンヌ映画祭「ある視点」部門出品に是枝監督は「特別な場所なので、スタッフ、キャストとその時間を楽しみたいです」と笑顔で語っていた。「海よりもまだ深く」は5月21日より公開。