現代美術家・小松美羽氏、ライブペインティングで「百日紅」の世界に迫る
2016年3月5日 19:30
[映画.com ニュース]江戸風俗研究家で漫画家の故杉浦日向子氏が手がけた漫画を原恵一監督がアニメ映画化した「百日紅 Miss HOKUSAI」の特別上映とトークイベントが3月5日、「三鷹の森アニメフェスタ2016 アニメーション古今東西」で行われ、現代アーティストの小松美羽氏が出席した。
小松氏は独自の死生観を描いた銅版画「四十九日」で注目を集め、その後ペン画、ペイント画などさまざまなジャンルに挑み、その作品は国内外で高い評価を獲得している。この日は、主人公の女性浮世絵師・お栄のアーティストとしての本質を、ライブペインティングで表現するパフォーマンスを披露。観客が固唾を飲んで見守るなか、約10分で作品を完成させると、描かれた2体の動物を指さし「お栄の2面性を表しています」といい、「荒々しさと好奇心旺盛な部分、それをひっくるめてアーティストだと思うので」と説明した。
映画は、江戸時代の女性浮世絵師・お栄の生きざまを描く。お栄が描く浮世絵は魂がこもるあまり、そこに描かれた竜などの不可思議な生き物たちが具現化されてしまう。同じクリエイターとしてお栄に共感する部分も多かったという小松氏は、「私も妖怪やもののけを描くのが好き。クリエイターはそういうものにひかれやすい。そういったものが出るというスポットを見に行っちゃう」と告白する。
さらにクリエイターにとって「妖怪などの存在を感じるのは日常。特別なことではない。それを教えてくれた気がします」といい、そのうえで「本作はクリエイターの世界を飾らず描いています」と独自の視点から解説。そして「例えば地獄の絵を描いていても、そこには平和や祈りがある。だから映像が発達しても、私は絵を選ぶのだと思う」と絵画という芸術表現の奥深さを語った。
本企画は、三鷹の森ジブリ美術館が厳選した世界のアニメーションを上映するイベント。小松氏もアニメファンだそうで、「最初にはまったのはディズニーの『ファンタジア』。こんなにユニコーンが好きなのだから、私はユニコーンの生まれ変わりなんだって思いながら見てました」と笑顔で振り返る。さらに「日本アニメならジブリ作品」と明かし、「小さい頃、町の施設の上映会で『紅の豚』が何度も上映されて、好きになった。しばらくしたらトトロやラピュタも上映されて、『なんでこれをもっと早く見せてくれなかったんだ!』って(笑)」とジブリ愛を熱弁。そのうえで、「アニメーションは楽しさだったり、わくわくするものが詰まってる」と興奮の面持ちで語った。
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