黒沢清新作「クリーピー 偽りの隣人」ベルリン上映で拍手喝さい
2016年2月15日 17:00

[映画.com ニュース]現在開催中のベルリン映画祭で、現地時間の2月13日、黒沢清監督の新作「クリーピー 偽りの隣人」がベルリナーレ・スペシャル部門で上映され、キャストの西島秀俊、竹内結子、香川照之が監督とともに出席した。黒沢監督にとっては1999年の「ニンゲン合格」以来16年ぶりのベルリン。このとき参加できなかった西島と揃っての登壇は、今回が初となった。
日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した前川裕氏の原作を映画化した本作は、6年前の一家失踪事件を調べる犯罪心理学者が、引越し先で奇妙な隣人と出会ったことで、危険な状況に追い込まれるサスペンス劇。黒沢映画特有のホラー的な雰囲気や残酷な描写とともに、先の読めない物語にぐいぐいと引き込まれる。
当日、会場に到着したゲスト陣は、約1900席のキャパシティを誇るフリードリッヒシュタット・パラスト劇場がほぼ埋め尽くされた光景に、早くも感無量の表情に。上映が始まると、ショッキングなシーンでは思わず声があがり、顔を覆う観客もいた一方、意外なところで笑いが起きるなどダイレクトな反応が見られ、最後は拍手喝さいが沸き起こった。上映後の登壇では、直前に仕込んだというドイツ語で香川が、「みなさん今日はありがとうございます。僕はこの映画通りの人物なので……」と語りかけると、会場は大きな笑いに包まれた。
監督は上映後のコメントで、「こういう“危なっかしい”映画を上映してくれたベルリン映画祭の勇気に感謝します。お客さんもとても温かく最後まで見てくれて、本当に映画好きの人々が集まっているのだと実感しました」と発言。西島は、「観客のみなさんが楽しんで見てくださったのが感じられて、自分もとても幸せな気分になりました。ここまでの体験はいままでしたことがなかったです」と語り、竹内は「よくテレビで見るような正式上映の風景のなかに、いま自分がいるんだと知って面白いなと思いました(笑)。撮影のときに夢を見ているような感じで演じて下さいと監督に言われたのですが、それがまだ続いているような気持ちです」と、胸の内を語った。キャストの3人は口々に、「とても楽しかった。こんな素晴らしい機会を与えてくださった監督に本当に感謝します」と喜びを露わにした。さらに監督は、ビビッドな観客の反応について、「予想以上でした。ただ、可笑しいから笑うというだけじゃなく、きっといろいろな感情の昂りが笑いという表現になったのだろうと思います」と分析した。
本作は今年6月18日に日本公開が予定されている。(佐藤久理子)
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