本広克行監督、是枝裕和監督にラブコール「プロデューサーやって!」
2016年2月13日 19:50
[映画.com ニュース] 是枝裕和監督が吉田秋生氏の人気漫画を実写映画化した「海街diary」が2月13日、香川県で開催中の「さぬき映画祭2016」で上映された。是枝監督は、映画祭ディレクターを務める本広克行監督とともに舞台挨拶に立った。
2年ぶりに同映画祭に参加した是枝監督は、何度となく本広監督と間違われるといい「報知映画賞の授賞式でも『本広さん、入られます』って言われて、仕方がないから『どうも』って(笑)」と明かし、場内を沸かせた。本広監督は、「前回は雪で飛行機が飛ばず、是枝さんは10数時間かけて来てくれた。何で来てくれたんだ? と思ったら、『うどんが美味しいねえ』って。あれ? この人、メシで釣れるんじゃないかと思った」と明かすと、是枝監督も「釣られるねえ。何とかして行こうとしますよ」と同調していた。
映画祭が10周年を迎えたことで、是枝監督が「この先、10年のビジョンは?」と聞くと、本広監督は「適当にやってきましたからねえ。今後はどうしようかなあ。世界中の映画祭へ行かれているから、いいアイデアをくださいよ」とリクエスト。是枝監督は、「スペインのサン・セバスチャン国際映画祭が素晴らしいですよ。映画祭そのものも良いし、ヨーロッパ一の美しい街並み、そしてメシがいいんです」と相好を崩しながら力説していた。
第68回カンヌ映画祭コンペティション部門に選出された「海街diary」は、国内の映画賞を席巻し、第39回日本アカデミー賞では正賞12部門を受賞している。祖母の残した鎌倉の家で暮らす3姉妹(綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆)が、山形で別の家庭を築いていた父の葬儀で出会った異母妹のすず(広瀬すず)を引き取り、本当の意味で姉妹に、家族になっていく姿を1年がかりで追いかけ、それぞれの感情の機微をすくい取りながら描く。
本広監督は、「僕も実は『海街diary』を狙っていたんですよ」と告白。原作者・吉田氏の大ファンだといい、「『河よりも長くゆるやかに』もすごくいいですよね。是枝さん、プロデューサーやってくださいよ!」とラブコールしてみせた。「逆だったらいいけどなあ」と苦笑いを浮かべた是枝監督だったが、「『海街diary』は別の人に押さえられていたんで、一度は諦めたんです。その方が手放したことで、チャンスがめぐってきた。『うまくいきませんように!』って、ずっと呪っていましたよ」と秘話を披露。これには本広監督も「僕も一緒ですよ!」と大喜びで、客席を爆笑させた。
また、司会の女優・小野しおりは、「是枝作品に出るにはどうしたらいいかとか聞いてみろよ」と本広監督にけしかけられ、困惑しきり。是枝監督は、「(『空気人形』に主演した)ペ・ドゥナがそうだけど、作品の中で自分がどうあるべきかを考え、作品の住人になれる人かな。自分をどう見せるかではなく。『海街diary』では、夏帆がすごく豊かに、空間にふっといられて素晴らしかった」と丁寧に応えていた。
さぬき映画祭2016は、2月21日まで開催。
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