【「あぶない刑事」連載インタビュー第2話】10年のブランクを感じさせぬタカとユージ
2016年1月22日 12:00
[映画.com ニュース]「あぶない刑事 DVDマガジン」は2012年6月から隔週で全44巻が発刊され、累計で120万部の大ベストセラーとなった。既にドラマ、映画の全作がDVDで発売されているだけに、この数字は驚異的だ。製作総指揮の黒澤満も驚きを隠さない。
「そこまでいくとは思っていなかったですね。加えて10年の間に、やってほしいというファンからの手紙が相当来たんです。2人がどう変わっているかという心配は正直あったけれど、お会いしたら全く昔と変わっていない。それならもう一気にいこうということになったんです」
満を持して「さらば あぶない刑事」の企画がスタート。黒澤はメガホンを村川透、撮影を仙元誠三に託した。村川は「あぶない刑事リターンズ」以来20年ぶり。仙元も前作「まだまだあぶない刑事」以来10年ぶりとなる。これは、黒澤が代表を務めるセントラル・アーツの第1回制作作品「最も危険な遊戯」(1978)を手掛けたメンバーだ。
黒澤「『さらば』というタイトルを付ける以上、これで終わりかもしれないから最初の監督とカメラマンを使った方がいいかなと思って。舘さん、柴田さんも含めいろいろなことを知っていますから、プロデューサーの立場で言うと、やりやすいし助かるんです」
村川「いいんじゃないって感じでした。我々は選ばれる側ですけれど、一瞬にして、あっ、そういうもんだろうなと納得しました」
仙元「私は黒澤さんが右って言えば右、左って言えば左ですから。少年のように心が弾んで、自分自身の総括として懸けようと思いましたね」
コンセプトは、舘がシリーズを通して常々口にしている「ハードボイルド、スタイリッシュ、ファッショナブル」の三大要素への原点回帰。2人の定年退職前の5日間を描くということになり、脚本の柏原寛司はジョン・ウェイン主演の西部劇「黄色いリボン」をイメージした。舘と柴田も初めて準備稿段階から加わり、時間をかけてストーリーを練っていったという。
柏原「我々作る側とは別に、演じる側も10年間どうしていたんだろう、これからどうするんだろうってキャラクターを考えてきているからね。なるほどなあと思うところもあったし、10年あったわけだからその分力をためているというか、思いがうまく出せたんじゃないかのかな。そのへんが役者さんの素敵なところで、舘選手も恭兵選手も十八番を心得ているわけですよね」
クランクインは昨年4月、潜入捜査で留置場にいる鷹山敏樹(タカ)を大下勇次(ユージ)が迎えに行く、まさに映画の冒頭のシーンとなった。10年ぶりの邂逅(かいこう)を黒澤は感慨深げに見つめ、村川はここにも柴田が得意のステップシークエンスを見せるなど2人のアイデアが取り入れられていると明かす。
黒澤「10年たっているわけですから、2人のキャラクターがうまく生きるかという心配も含め大変だろうな、難しいかなと思いながらも、喜び、うれしさの方が先に立って安心しました」
村川「面白いあぶデカ精神をやりましょうということで、役者さんも実にスムーズに入ってきた。恭兵ちゃんも『ただ歩いて来るのはつまらないよね』って考えてくるから、私は音楽を乗せようってなる。照明もカメラも皆それを期待しているし、楽しかったですよ」
「あぶデカ」の完全復活を思わせる順風満帆の滑り出し。だが、その裏では思わぬアクシデントに見舞われていた。(敬称略)
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。