黄色いリボン

劇場公開日:

解説

「幌馬車(1950)」と同じく、ジョン・フォードがメリアン・C・クーパーと組んだアーゴシイ・ピクチュア・プロダクションの1949年度色彩西部劇。サタディ・イヴニング・ポスト誌所載のジェームズ・ワーナー・ベラの原作を、「幌馬車(1950)」のフランク・S・ニュージェントと、「ジャングル・ブック(1942)」の潤色者で劇評価のローレンス・ストーリングスが共同脚色、ジョン・フォード(「幌馬車(1950)」)が監督している。撮影は新人のウィントン・ホッホとチャールズ・ボイル、音楽監督はルシアン・カイリエ。主演は「男性都市」のジョン・ウェインが老大尉に扮し、「幌馬車(1950)」の主要メンバーであるジョアン・ドルー、ベン・ジョンソン、ハリー・ケイリー・ジュニア、「アパッチ砦」のジョン・エイガー及び「男の敵」以来フォードお気に入りのヴィクター・マクラグレンが共演、他に、ミルドレッド・ナットウィック、ジョージ・オブライエン、アーサー・シールズ、マイケル・デュウガンらが助演する。

1949年製作/103分/アメリカ
原題:She Wore a Yellow Ribbon
配給:セントラル

ストーリー

1876年。西部の白人達は、一斉蜂起したインディアン種族のために苦境に立たせられた。スタアク砦のブリトルス大尉(ジョン・ウェイン)は老齢のためあと6日で退役の身であったが、最後の奉公としてシャイアン族の掃蕩作戦を指揮することになった。亡き妻と息子の墓に別れを告げた大尉は、東部へ帰る隊長夫人(ミルドレッド・ナットウィック)とその姪オリヴィア(ジョン・ドリュウ)を護衛しつつ、タイリイ軍曹(ベン・ジョンソン)を先導として軍を進めた。しかし、2婦人が出発すべき駅馬車の宿駅はすでに焼き払われており、やむなく隊は砦に馬を返すことにした。オリヴィアをめぐって、若いコーヒル中尉(ジョン・エイガア)とペネル少尉(ハリー・ケリイ2世)の間には恋のさや当てが始まっていたが、1千に余るインディアンに追尾されていることが分かると、隊は個人の愛憎を捨てた。渡河点にコーヒル中尉を残して砦に引き揚げた本隊は、早速ペネル少尉を長として河に引き返した。隊員から餞別の時計を贈られた大尉は、従卒クィンカノン(ヴィクター・マクラグレン)を振切ってひとりカリフォルニアに旅立ったが、渡河点の隊員が気になって馬を返すと果して部下達は苦戦に陥っていた。大尉の作戦で隊はインディアン集落に夜討をかけ、馬を全部追払って敵を抗戦不能におとしいれてから、大尉は西へ去ったが、あとを追って来たタイリイ軍曹が携えてきたのは、彼を左官待遇でインディアン偵察官に任ずるという辞令だった。

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映画レビュー

5.0せめぎあいの中に

2022年8月14日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1949年。ジョン・フォード監督。カスター将軍率いる部隊の全滅(「アパッチ砦」の題材)後、各地の先住民族が結束してアメリカ軍に対峙する場面が増えてきた。部隊を指揮する大尉は現役引退を5日後に控え、最後のパトロールに出ることに。同時に、現地を離れる上官の妻と姪を駅馬車まで送ることにもなり、その姪は部隊の中の若い士官二人と三角関係にあって、、、という話。
戦争なので題材はシリアスだし各所で人も死ぬのだが、全体的にコミカルで開放的。それは、何かが決定されていて動かせないということがなく、事態はどこまでもせめぎあいの中にあることが描かれるからだろう。軍隊の命令には反論が前提とされていちいち命令と反論を記録しようとするし、若い男女の三角関係は、相思相愛に気づいてないだけの男女の喧嘩腰の口論によって活気づけられているし、多くの犠牲者が想定される避けられない戦いは最後まで別の手段が模索されるし、そもそも、主人公の引退というもそれを目安にカウントダウンまでしながら最終的にひっくりかえるような性質のものだ。「終わり」「目的」を目指してまっしぐらということがなく、すべては常にせめぎあいの中に、その過程にある。
その意味では、一見、無駄に見えるシーンに大きな意味がある。主人公に秘書的に親しむ部下は酒好きで自らも3週間後に引退を控えているのだが、その部下が私服で酒を飲むシーン。物語上の意味は後から付け足しされているが、そこで重要なのは、男たちが笑いながら殴り合うアクションである。殴る=敵対するではないのだ。

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文字読み

4.0白髪のジョンウェインもイケてる

2022年4月26日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

『アパッチ砦』から続けて鑑賞。

アパッチ砦では自己中なリーダーだったが、本作では、部下思いで、

責任感の強い理想的なリーダー。

退役後も、騎兵隊のために、人肌脱ぐリーダー。

日本映画ならその辺は湿っぽく描かれるのだろうが、アメリカ映画、特に西部劇なので

カラッとしている。

当たり前なんだが、アメリカ人が先住民を駆逐して、領土を広げたわけだが、

それが最後に字幕となって出てくると、微かな違和感を感じる。

インディアンに言わせてたら、侵略者に過ぎないわけだから。

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藤崎敬太

2.5謝る事は弱さを表す事

2021年10月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ジョンウェイン扮する先住民と戦っていたネイサンブリトルズ大尉は、あと6日で退役するところであったので亡くなった妻の墓に報告した。ジョンウェインのダミ声が響き渡る。黄色いリボンは騎兵隊の恋人を表す様だ。また謝る事は弱さを表す事だそうだ。

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重

1.0あの「駅馬車」での切れ味はどこへ…

2021年6月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

少しまとめてフォード作品を観た延長で、
若い頃鑑賞していたものの内容は全く
覚えてもいなかったので再鑑賞した。

フォード監督の映画は概ね、
「怒りの葡萄」「わが谷は緑なりき」を中心と
する戦前の社会派タッチの作品群、
戦後の「騎兵隊3部作」を中心とする戦後の
西部劇作品群、
そして、50年代の「捜索者」「静かなる男」の
市場意識よりもフォード監督の個人的な思索の延長にあるような作品群、
に大別されるイメージがあるが、
私は戦前の作品群が好みだ。

一方、戦後の西部活劇には抵抗感が強い。
“映画.com”に参加させていただく
ようになり、
ある投稿者の方にフォード西部劇の
素晴らしさや鑑賞のポイントを教えて頂き、
幾つかの作品を再評価出来たが、
この作品へは最後まで評価出来ないままの
鑑賞となった。

この作品は、大尉の部下思いで組織の統率者
としての理想の人物像、
中尉と少尉の恋のさや当て、
大尉と同期の従卒との丁々発止の遣り取り
等が描かれるが、各エピソードが散漫過ぎて
まとまりが悪い。

酒場での同期兵卒を中心とする乱闘シーンも
下手なコントを見せられているようで
私は全く笑えなかった。

また、
どうしてインディアンと武器商人の取引現場に簡単に近づくことが出来る設定に
するのか、
どうしてあれほど残虐に白人を殺す一部の
インディアンがいる居留地での交渉に臨む
段取りを端折って簡単そうに描くのか、
どうしてインディアン居留地の馬を簡単に
追い払う設定に出来るのか、
等々、不自然な描写が私には解らない。

ラストでは大尉が中尉・少尉の元に戻る
という期待通りの結末に導くためとは言え、
余りにも安易な展開に、
どうしてこのように都合の良い描写に
出来るのか、
彼の多過ぎる作品数と関連していないか、
脚本の練りに手抜かりは無かったのか、
そんな疑問もあり、
私は鑑賞への集中力を削がれてしまった。

確かに映像は素晴らしく、主題歌も有名で
子供の頃は日本語の歌詞があり
良く唱ったものだが、
あの「駅馬車」での切れ味はどこへ行って
しまったのかの思いだ。

一方、基本的に私を唸らしてくれた作品が
多かったのは黒澤明の方だが、
彼が敬愛するフォード監督にどうしても
太刀打ち出来なかったのは
馬や馬車の疾走シーンではなかったろうか。

元々が、駄馬しかいなく狭かった日本古来の
合戦環境だったので、さすがに黒澤でも、
馬の疾走感覚への遺伝子が欠けていたため
だったろうか。

いずれにしても、他の投稿の皆様には
申し訳のないネガティブな内容に
なってしまいましたが、お叱りを覚悟で、
異論・反論・オブジェクションとして投稿
させていただきました。

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