唐沢寿明「杉原千畝」公開初日に願い明かす「映画きっかけに知ってほしい」
2015年12月5日 14:40

[映画.com ニュース] 第2次世界大戦時のリトアニアで多くのユダヤ難民を救った外交官・杉原千畝の半生を描いた映画「杉原千畝 スギハラチウネ」が12月5日、全国329スクリーンで封切られ、主演の唐沢寿明をはじめ、共演の小雪、小日向文世、塚本高史、チェリン・グラック監督が東京・TOHOシネマズ日劇2での舞台挨拶に立った。
満場の客席を見渡し、千畝役の唐沢は「今日はこんなにたくさんの方においでいただき、ありがとうございます。感想は怖くて聞けませんが、感無量でございます」とジョーク交じりに謝辞を述べる。千畝の妻役を務めた小雪も、「去年の秋にポーランドで撮影していたことを、バックステージでしみじみ思い出しました。皆様のもとに公開されて、やっと終わったんだと実感しています」と感慨深げで、「この映画を通して、今の人生や戦争、いろいろな人々に思いを馳せるきっかけになって頂けたら嬉しく思います」と真摯に呼びかけた。
人物像を語る資料がほとんど残っていない千畝を演じるにあたり、唐沢は「(千畝の)奥様の著書なんかでは、どちらかというと寡黙で優しい人というイメージでしたが、残っている肉声を聞くと『外務省をクビになっても構わない』とか、熱い面もあったんです。ですが、本当の杉原さんは誰にもわからない。それを演じるのに苦労しましたね」と吐露。一方、メガホンをとったグラック監督は、「自伝を書いていないことが、ヒントかもしれない」と持論を明かし、「自分が正しいと思ったことをやり遂げ、『俺はこんなことをやったんだ』と威張ったりしない人というのが私たちの解釈でしたが、それは当たっているかもしれない」と映画で描いた“千畝像”に自信をのぞかせた。
またこの日は、実際に千畝が発給したビザに命を救われた“スギハラサバイバー”のひとり、シルビア・スモーラーさんが登壇。6歳のころにビザを受けたスモーラーさんは、「杉原さんは私だけではなく、家族の命を救ってくださった恩人です」と語り、「杉原さんは複雑な多面性を持ち、感性が鋭い人でした。映画の中にはとても残酷な場面もありますが、そういう時に見せる唐沢さんの表情が、杉原さんの心を豊かに表現していました」と絶賛する。この言葉を受けた唐沢は、「杉原さんはすごい人だったんだと、改めて感じました」と思いを馳せ、「リトアニアに行くと、本当に皆さん(千畝の逸話を)ご存知ですが、日本では知らない方も多い。この映画をきっかけに知ってほしいと思います」と願いを明かしていた。
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