東京フィルメックス最優秀作品はチベットの遊牧民を描いた中国映画「タルロ」
2015年11月28日 19:12

[映画.com ニュース]第16回東京フィルメックスの授賞式が11月28日、東京・有楽町朝日ホールで行われ、ぺマツェテン監督による中国映画「タルロ」が最優秀作品賞と学生審査員賞に輝いた。
世界各国の作家性の強い作品が集まる本映画祭のコンペティション部門には10作品がノミネートされた。最優秀作品賞を受賞した「タルロ」は、チベットの羊飼いタルロを通して、現代文明と伝統文化の相違に引き裂かれていく遊牧民の混乱を、ユーモアを交えて描き、「IDを求める男がIDをなくすというシンプルなコンセプトを美しく映画にした」と評価された。ペマツェテン監督は、第12回の同映画祭で最優秀作品賞を受賞した「オールド・ドッグ」に続く、2度目の最高賞受賞に「フィルメックスにはとても縁を感じます。私にとっては故郷のような、家のような感じがします」と喜びを語った。また学生審査員賞の受賞について、「日本の若い人がこの映画を評価してくれたということ」とほほ笑んだ。
審査員特別賞には中国から出品されたチャオ・リャン監督作「ベヒモス」が選出された。審査員の塩田明彦氏は、同作を「押し寄せる現代文明と荒廃していく人間と自然を、批判的かつ詩的にビジュアル化した」と評した。これを受け、チャオ監督は「この賞状を持って明日北京に帰ります。北京はもう寒くなっていますが、これで温かく帰れます」と茶目っ気たっぷりに喜びを表現した。
観客賞は、中国・香港合作のピーター・チャン監督「最愛の子」。既に帰国していたチャン監督からは「観客賞の受賞は、フィルムメーカーになるという私の信念を再確認するのに最適です。今日私がしていることをなぜ選んだのか思い出させてくれる、これよりいい方法はありません」とコメントが寄せられた。
また、コンペティション部門に日本から唯一選出された「クズとブスとゲス」の奥田庸介監督と、ムクティ・ジャヤスンダラ監督の「白い光の闇」がスペシャルメンションに選出された。奥田監督は興奮を隠し切れない様子で「心臓の鼓動が皆さんに聞こえてますかね……」とマイクを胸に当てて会場の笑いを誘った。
イ・ヨンガン審査委員長は、総評として「(コンペティション部門の)10作品はそれぞれ素晴らしい作品ばかりだった。全てが旺盛なチャレンジ精神に基づいて作られた作品で、見ている間ずっと緊張させられていた。それぞれの監督が、社会の問題を鋭利な視線でとらえていた。審査員全員がすべての作品に賞を与えてもいいのではないかという思いで審査会議をしました。それぞれの作品を通して、アジアの未来を見ることができた事にも感謝申し上げます」と締めくくった。
第16回東京フィルメックスは、11月29日まで東京・有楽町朝日ホールほかで開催。
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