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第16回東京フィルメックス開幕 園子温監督「ひそひそ星」は「福島で撮ったことが重要」

2015年11月22日 07:30

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園子温監督と神楽坂恵
園子温監督と神楽坂恵

[映画.com ニュース] 第16回東京フィルメックスが11月21日開幕した。映画祭ディレクターの林加奈子氏、審査委員長の釜山国際映画祭ディレクターイ・ヨンガン氏らが出席した開会式の後、オープニング特別招待作品である園子温監督の「ひそひそ星」が上映された。

ひそひそ星」は、園監督が1990年に執筆した脚本を、妻である女優・神楽坂恵を主演に迎えて自主制作で完成させたモノクロSF映画。福島県の富岡町、南相馬、浪江町でロケをを行い、地元住民の協力のもと製作。人間の記憶と孤独をテーマに描いた。

園監督と神楽坂は上映後のティーチインに参加。過ちを繰り返した人類が住む星を描くにあたり、脚本執筆時は東京都のごみ埋立地「夢の島」などをロケハンしていたそうだが、大震災を経験した今、福島を舞台にせざるを得なくなったと明かし、2012年に発表した「希望の国」で取材に協力してもらった被災者に出演を依頼した。

モノクロで撮影されているが、劇中ワンシーンだけカラーになる場面について問われた園監督は「福島で撮ったことが重要。かつて街だった場所が年月を経て草むらになった。そこに青空があり、緑があるという風景は、白黒ではなくカラーにすべきだという思いがあった」とその意図を明かした。

福島での撮影を「今の福島を記録しようと思っても、刻一刻と変わっていった。(作品の)最後の影絵のようにかげろうであり幻の街を撮った」と振り返り、今後も「可能な限り福島で、ドキュメンタリーではない映画を撮りたいと願っている」と語る。また、本作の劇場公開が2016年5月に決定したと発表された。

同映画祭では、10作品がノミネートされたコンペティション部門、特別招待作品のほかピエール・エテックスホウ・シャオシェンツァイ・ミンリャンという3人の監督の特集上映が行われる。

第16回東京フィルメックスは、11月29日まで東京・有楽町朝日ホールほかで開催。

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