新作「菊とギロチン」も始動 瀬々敬久監督「ヘヴンズ ストーリー」アンコール&特集上映決定
2015年11月20日 05:00
[映画.com ニュース] 瀬々敬久監督がベルリン国際映画祭で2冠を達成した「ヘヴンズ ストーリー」の5周年を記念し、毎年恒例となっている35ミリフィルムでのアンコール上映が12月12日から行われることが決まった。さらに、瀬々監督の新作「菊とギロチン」の始動も記念し、幻の作品を含めた瀬々監督特集上映が開催される。
「ヘヴンズ ストーリー」は、東宝配給の前後編メジャー大作「64 ロクヨン」の公開も来年に控える瀬々監督が2010年に発表したインディーズ作品。全9章、4時間38分に及ぶ社会派ヒューマンドラマの巨編で、ベルリン映画祭で国際批評家連盟賞とNETPAC賞をダブル受賞。映画館での上映にこだわり、いまだソフト化はされておらず、毎年のようにアンコール上映が行われているという伝説的な作品だ。
今回のアンコール上映では、「ヘヴンズ ストーリー」公開5周年記念とともに、瀬々監督の新作「菊とギロチン」が始動することも記念し、東京・新宿K's cinemaで連日のトークショーも開催。同時に、瀬々監督の貴重な作品をラインナップした特集上映も行われる。
新作「菊とギロチン」は、大正末期の日本を舞台に、ロマンスや活劇、社会風刺も盛り込んだ骨太エンタテインメント。関東大震災後の混沌のなか、様々な大衆文化が花開くと同時に軍事国家への道をひた走っていた日本で、当時農村を中心に活況を呈していた「女相撲」の力士たちと、格差のない理想世界を夢見る若きアナーキストたちの出会いを軸に、庶民たちの荒々しくも猥雑なパワーを描き出す。共同脚本には、ナント三大陸映画祭を始め国内外の映画祭、映画賞で評価された「サウダーヂ」を手がけた映像制作集団「空族」の相澤虎之助が名を連ねている。
特集は「アナーキーじゃぱん史あるいはアナーキーな純情? 瀬々敬久監督1982-2001」と題し、アナーキーな視点で「ピンク四天王」と国際的にも注目されたピンク映画監督時代の傑作10本に加え、瀬々監督が京都大学時代に手がけた8mm作品「少年版私募情 国東 京都 日田」(82)も上映。同作は、8mm映写機を複数使うユニークな上映形式で、瀬々監督ならではの詩情がみずみずしい幻の傑作ロードムービーとも言われている。
また、東京だけでなく、「ヘヴンズ ストーリー」全国上映ツアーも11月29日、瀬々監督の原点と言える京大西部講堂皮切りにスタートする。
「ヘヴンズ ストーリー」アンコール上映や全国上映ツアー、特集上映のスケジュールや上映タイトルは、同作の公式ブログ(http://ameblo.jp/heavens-story)に掲載される。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。