「ミケランジェロ・プロジェクト」原作者が語る、ジョージ・クルーニーの意欲
2015年11月5日 15:35

[映画.com ニュース]ジョージ・クルーニー監督・主演、ナチスドイツによって盗まれた美術品を奪回する任務を負った、美術品専門家チームの活躍を描くサスペンス「ミケランジェロ・プロジェクト」が11月6日公開する。映画の原作者ロバート・M・エドゼル氏が作品を語った。
第2次世界大戦下、ルーズベルト大統領から、ナチ・ドイツが略奪した美術品を保護する任務を託された美術館館長ストークスは、7人の特殊チーム“モニュメンツ・メン”を結成する。ドイツで大量の美術品の隠し場所を探り当てた“モニュメンツ・メン”だが、そこにはヒトラーから破壊指令を受けたナチが待ち受けていた。クルーニーが脚本も担当し、マット・デイモン、ケイト・ブランシェット、ビル・マーレイ、ジョン・グッドマンら豪華俳優陣が共演する。
エドゼル氏は10年以上前にフィレンツェを訪れた際にモニュメンツ・メンの存在を知り、10年をかけてヨーロッパ各地を旅しながら調査を開始。そこで、の「最後の晩餐」「モナ・リザ」「ひまわり」など名だたる美術品がモニュメンツ・メンから救い出されたという事実をつきとめた。現在、彼らの存在を世に広めるため、“Monuments Men Foundation for the Preservation of Art”を創立し、精力的に活動している。
モニュメンツ・メンがナチス・ドイツ軍から救い出した美術品の価値はどれほどのものなのだろうか。「どのくらいの美術品が戦時中に盗まれたのか、その数字を考えるだけでも想像を絶する額になるかと思います。総額は実際に彼らが救った美術品が約400万点、そのうち絵画や彫刻が約100万点あり、それを一点ずつ換算すると1000億ドル以上という額になるのは間違いないでしょう」
自身の研究の成果が、豪華キャストで映画化されたことについては「日本の方々にも絶対に楽しんで頂けると思います」と太鼓判を押す。一流俳優だけではなく、監督、脚本家としての顔も持つジョージ・クルーニーとのやり取りを明かす。
「ジョージは本当にものすごい努力家で、3年もの時間をこの作品のために捧げてくれました。また、自分のハリウッドにおける影響力も作品のために使い、かなり複雑で製作費も高い作品ではありますが、スタジオの力を借りて映画化することが出来ました。ジョージを含め素晴らしいキャストの皆が、この“モニュメンツ・メン”の物語を伝えられることを光栄に思って参加していました。脚本の打ち合わせでは原作に書かれている話、そして書かれていなかった話もたくさんさせて頂き、ジョージは何でも全て知りたい、なるべく忠実に彼らの物語を映画化したいとも言っていました」

実際のモニュメンツ・メンのうち、エドゼル氏が取材したのは20名、そのうち映画の完成時に存命だった8名が本作を鑑賞し、自分達の物語が世界中に知られることに感激していたそうだ。「皆が“モニュメンツ・メン”の物語を映画化できることを、とても誇らしく感じているという空気に満ちていました。役者もアーティストでありますが、“モニュメンツ・メン”自身もアーティストであったり、あるいは美術の先生や専門家であったりします。兵士というには意外性に飛んだグループでしたが、彼らが西洋の芸術を救ったわけです。この出来事を伝えられるということを非常に稀有なチャンスだと皆さん感じられていました」
日本ではモニュメンツ・メンの存在はおろか、ナチスが相当数の美術品を略奪していた事実を知らない人が多いが、このような事実を、既に本作が公開されている各国の人たちはどう受け止めたのだろうか。
「略奪があったということは学術的にも記されていますが、深く知っている方は少なかったのではないでしょうか。もちろん戦争に略奪はつきものだけれども、ここまでの大きな規模で展開され、しかも計画も綿密に練られ組織化された略奪はこれまで無かったわけで、そのことを映画を通して知られた方は多かったのではないかと思います。映画を通してドラマチックでワクワクするストーリーを楽しむのと同時に、我々の歴史の一部を初めて知るきっかけになり、そして現代にも通ずるものを皆さん感じてくださっています」
エドゼル氏の芸術に関する話題は尽きず、モニュメンツ・メンに日本人が所属していたことも明かした。そして最後に、「世界中の方々が、このジョージ・クルーニーが手がけた素晴らしい作品を通して楽しんで下さっています。そして我々が今日楽しむことができる様々な芸術作品を、 “モニュメンツ・メン”がいかに救ったかということを知りインスピレーションを受けて、日本の方々も楽しんでください」とメッセージを寄せた。
「ミケランジェロ・プロジェクト」は、11月6日からTOHOシネマズシャンテほか全国で公開。
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