ベリネール監督「ニーゼ」で描いた母国の女傑に最敬礼「世の中を変えた1人」
2015年10月27日 19:45

[映画.com ニュース] 第28回東京国際映画祭のコンペティション部門に選出されたブラジル映画「ニーゼ」のホベルト・ベリネール監督とプロデューサーのホドリーゴ・レチェルが10月27日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで会見した。
男社会でショック療法が主流だった1940年代の精神医療に、絵画や彫刻で意思疎通を図る芸術療法を持ち込んだ女性医師ニーゼの奮闘を描く、実話がベースの物語。今月初旬の地元リオデジャネイロ国際映画祭でワールドプレミアを行ったばかりで、ベリネール監督は海外での初披露に「いろいろな国の人に見てもらい、大切なことを伝えるために睡眠時間を削り、家族と過ごす時間も減らして映画を作っている。東京に呼んでいただいてありがたい」と感慨深げに話した。
ニーゼに関する書籍をベースに企画をスタートさせたのが13年前。当初はドキュメンタリーにする予定で、撮影のアンドレ・ホルタが監督もするはずだったが、劇映画としてプロジェクトの規模が拡大していくにつれて「自分には荷が重い」と降板。プロデューサーの予定だったベリネール監督が自らメガホンをとることになった。
クランクイン前の約2カ月は全スタッフ、キャストが撮影に使用した病棟で寝泊まりし、精神疾患で入院している実際の患者とも寝食を共にしたという。主要な患者を演じたのはプロの俳優だったが、「病室の中には実際の患者もいるし、スタッフとしても参加してもらった。順撮りだったけれど、役者たちがどんどん変わっていってリアルになった。とてもエモーショナルな瞬間だったよ」と手応え十分の様子で振り返った。
映画では描かれていないが、「現実はもっとひどかった」とベリネール監督が言うように、ニーゼはいわれなき誹謗(ひぼう)中傷を受け、殺害をほのめかす脅迫状も届いたこともあった。結果、患者たちによる美術展を開くことで世論を動かしたが、「メディアに訴えることが唯一の道だったが、彼女は決してあきらめず全くぶれることがなかった。すべてを描くことはできないが、世の中を変えた1人であることは間違いない」と母国の女傑を称えていた。
第28回東京国際映画祭は10月31日まで。コンペの審査結果は同日のクロージングセレモニーで発表される。
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