ブリランテ・メンドーサ監督、台風被災地で撮影した最新作で「フィリピン人には七転び八起きの精神がある」
2015年10月25日 07:00

[映画.com ニュース] フィリピンの鬼才ブリランテ・メンドーサ監督の最新作「罠 被災地に生きる」が10月24日、東京・六本木ヒルズを中心に開催されている第28回東京国際映画祭の「CROSSCUT ASIA #2 熱風!フィリピン」部門で公式上映された。メガホンをとったメンドーサ監督、俳優のアーロン・リベラ、プロデューサーのロレト・F・カスティリョがティーチインを行った。
2013年11月、台風ヨランダの直撃により甚大な被害を受けたフィリピン・タクロバンを舞台に、人生を一変させられた3人の被災者を取り巻く厳しい日常をドキュメンタリータッチのリアルな映像で描いた人間ドラマ。当初フィリピンの環境天然資源省から気候変動に関するドキュメンタリー作品の制作を依頼されたメンドーサ監督は、タクロバンの現状を描く劇映画にしてはどうかと提案し、綿密な取材を重ね完成にこぎつけた。第68回カンヌ映画祭「ある視点部門」ではスペシャルメンションを受けた。
フィリピン映画界をけん引するメンドーサ監督は、政府の助成を受けているがプロパガンダ的な要素は一切なく、クリエイティブ面の制約を受けず自由な表現ができたと語り、「ハリウッドの商業映画のように“ディザスター”にフォーカスするのではなく、人々のストーリーや心情を描きました」と強調した。14年4月に現地で撮影を敢行した時には、スタッフ一同がエキストラとして参加した被災者の気持ちに寄り添うよう配慮を欠かさなかったという。
さらに、「一番伝えたかったことは、天災を経験した人々がどのように自然を理解していくのか、自然災害にどのように備えるべきか、起きた時にはどう受け入れるのかということです」といい、「フィリピン人には七転び八起きの精神がある。どんな困難に直面しても立ち上がる強さがあります」と誇らしげに力を込めた。しかし、ヨランダの直撃からまもなく2年になるが復興は道半ばであり、政府の対応の遅さに現地の人々がいらだちや怒りを募らせている現状を観客に伝えた。
主人公のひとり、アーウィン役を演じたリベラは、メンドーサ監督との仕事は「感情がジェットコースターのようにアップダウンする」とにこやかに話し始めたが、マニラでタクロンバンの被災者を受け入れるボランティアに携わったことを振り返ると感傷的になった様子。被災者の心情を理解しているからこそ演じることに責任を感じたといい、「メンドーサ監督作に出演できただけでなく、家族を愛する人たちの物語の一部になることができて、夢がかないました」と真摯に語った。
第28回東京国際映画祭は10月31日まで開催。
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