「PFFアワード2015」グランプリは杉本大地監督「あるみち」
2015年9月24日 19:51
[映画.com ニュース]第37回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)を締めくくる「PFFアワード2015」の表彰式が9月24日、東京・京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターで行われ、東京造形大学に在学中の杉本大地監督の「あるみち」がグランプリを受賞した。
同作は、念願の美術大学に入学した青年の日常を、新しい友人や母との何気ない会話などを交え、臨場感たっぷりに切り取っている。杉本監督は「地元の友達や、急に知り合った友人にカメラを渡してその場で録画、演技をしてもらったので、周りの人に感謝しています」と謝辞を述べる。そして、「どういうエモーショナルなものを作れるのかと考えた時に、人が死んでしまったりということではなく、もっと内に秘めた爆発のようなものを、空気やにおいで撮れないかという思いで、作品を作りました」と思いを語った。
今年の最終審査員は俳優の奥田瑛二、「るろうに剣心」の大友啓史監督、「私の男」の熊切和嘉監督、芥川賞作家の阿部和重氏、映画プロデューサーの西村義明が務めた。それぞれの講評もあり、奥田は「撮りつづける、考え続ける、シナリオを書き続ける。そうすると見えてくるものがいっぱいあります」と継続の重要さを説く。そして、「これから将来ある諸君も、映画監督というのは死ぬまでできます。これからどんどん成長なさるなかで、命がけでめげないで、冒険心を持って続けてほしいと思います」と熱く呼びかけた。
「鬼畜大宴会」でPFFアワード1997の準グランプリを受賞した熊切監督は、「この先、映画を撮っていくことは大変なことがいろいろあります」と明かす。自身の体験を「僕も去年まで家賃を滞納していた」と振り返り、「夢のないことを言ってしまいましたが、映画を撮っていくしかないと腹をくくっている人が生き残っていく。これからも映画を撮り続けていってください」とエールを送った。
また、大友監督は海外出張のため欠席し、会場にはビデオメッセージが届けられた。「作るということは、最初は自分の内面というものを見つめていく作業がメインになっていくと思います。どこかで内面から外に出て、世の中で起こることと自分の演出・監督作法含めて、自分の映画の世界から外に出ていかなければいけないタイミングが、体験的に絶対要求されてきます。その体験を得られるまで、とにかく撮り続けて、またワクワクさせてくれるような魅力的な作品を見せてもらいたい」。その一方で奥田は、「大友はアメリカに行ってしまいました。どういう根性をしているんだ。僕も彼の『るろうに剣心』や『白洲次郎』に出演しているのでよく知っていますが、そういうやつです」とジョークを飛ばし、会場を沸かせていた。
今年は577作品の応募があり、ジャンル・技法ともに多彩な20作品が入選。グランプリの「あるみち」は第28回東京国際映画祭の特別プログラムで上映され、須藤なつ美監督の「大村植物標本」と藤川史人監督の「いさなとり」は、カナダ・バンクーバー国際映画祭の正式招待作品に選出された。
全ての受賞作は、以下の通り。
冨永太郎監督「ムーンライトハネムーン」
中山剛平監督「したさきのさき」
中山剛平監督「したさきのさき」
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藤川史人監督「いさなとり」
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