「まほろ駅前狂騒曲」の大森立嗣監督が語る、永瀬正敏の「すごさ」
2015年4月14日 15:40
「まほろ駅前」シリーズは、三浦しをん氏の人気小説を原作に、大森監督が手掛けた2011年の劇場映画「まほろ駅前多田便利軒」を皮切りに映像化がスタート。第2弾は、「モテキ」の大根仁監督が演出を務めるテレビドラマとして放送された。シリーズファンの期待にも応えながら、「新しい人にも見てほしいってね」と、間口の広さを意識したと大森監督が語る今作は、便利屋の多田(瑛太)と行天(松田)のバツイチコンビが、行天と事情がある女児の子守りや、突然のバスジャックに見舞われるピンチを描く。2人のどこかおかしい掛け合いはもちろん健在で、そのオフビートさは初めて見る者にとっても魅力的に映るはずだ。
大森監督は、「俳優が生命力を持ってその役を演じているということが、俺は映画にとって一番大事なことだと思っているんです」と力を込める。「脚本があってカメラという要素もあるけど、映画に血を吹き込むのは俳優。俳優がその瞬間に自分で考えて行動することが、すごく大事」というこだわりが、瑛太と松田のかもす空気感の礎となっているのは間違いない。「あんまり役者をコントロールするようなことはしたくない。2人は現場での一瞬の空気や周りの何かに反応しながら演じているので、それは生かしたいんです。(たとえセリフをかんだとしても)やっぱりそれは“生きている”からこそ。生ものっぽく見えるところがたくさんある方がいい」と語る。
本作では、そんな生きたキャラクターを演じられる俳優として、永瀬正敏が出演していることも大きな見どころ。監督は、行天の過去に絡む怪しげな団体の代表者に扮した永瀬について、「何をやっても絵になっちゃうというか、あのすごさは何ですかね。体が映画になっている感じがすごくしました」と絶賛する。WOWOWドラマ「かなたの子」を経て、「一緒に映画が作れたら幸せだなと、ずっと憧れていた」と明かす、念願の映画作品でのコラボレーション。「永瀬さんもまた、俳優が演技の役の中でどうやって生きるかにずっと挑んできた方だと思う。その意味でも一緒にできて、非常に光栄だなと思います」。
05年の長編監督デビュー作「ゲルマニウムの夜」から、今年で10年を迎えた。「まだ10年ってことでしょう、ひよっこです。下の世代がどんどん出てくるし、もうちょっと頑張らないと。(「舟を編む」の)石井(裕也)監督、(「日々ロック」の)入江(悠)監督だってバンバン撮っているし。イヤになっちゃいますねえ(笑)」とぼやいてみせるが、「今でもまだ、感動する映画と出合える。そういう感覚が自分にあるってことは、俺もまだ映画を作っていいんだという気がするんです」と心情を明かす。事実、3月末から新作の撮影が始まっており、映画作りに対する思いは今も熱い。
「恐いけれど、毎回新しいことに挑戦するしかない」と言う大森監督。「瑛太と龍平、そして大河ドラマでも活躍している高良健吾、台湾映画(『KANO 1931海の向こうの甲子園』)にも出ている永瀬さん。役者を見てもらいたいなとすごく思いますけど、肩ひじ張らず、楽しく見ていただけると嬉しいです」と、「まほろ駅前狂騒曲」の見どころを伝えてインタビューを結んだ。
「まほろ駅前狂騒曲」ブルーレイ&DVDは、4月15日からセル&レンタル開始。2枚組豪華版ソフトには、特典ディスクと豪華ブックレットを同梱。瑛太、松田龍平、大森監督による音声コメンタリーも収録される。
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