“夜回り先生”絶賛「『ソロモンの偽証』に出てくる中学生全員の心に“正義”がある」
2015年3月27日 14:31

[映画.com ニュース] 宮部みゆき氏の長編ミステリー小説を映画化した2部作の後編「ソロモンの偽証 後篇・裁判」の中学生限定特別試写会が3月26日に都内で行われ、メガホンをとった成島出監督と、夜間に繁華街をパトロールすることから「夜回り先生」の異名を持つ児童福祉活動家の水谷修氏が登壇した。
クリスマスの朝に校庭で転落死した男子生徒・柏木卓也(望月歩)の遺体が見つかって以降、一連の事件に揺れる城東第三中学校で、藤野涼子(藤野涼子)ら生徒たちによる学校内裁判が行われることになった。涼子は、告発状により柏木殺害の嫌疑をかけられた大出俊次(清水尋也)の有罪を立証しようと奔走。一方、他校生だが柏木の友人として裁判に参加する神原和彦(板垣瑞生)は大出の弁護人となり、涼子と対峙する。
水谷氏は開口一番、「作品の中にこれほど引き込まれた映画は久しぶりです。前後編を一気に見ました」と本2部作を絶賛。そして会場の中学生に向けて「映画には色々な中学生が出てきますが、その中に自分がいませんでしたか? 僕にはいました。柏木君です」と語りかけた。それに対し、成島監督も「偶然ですが、僕の中学時代も柏木君のようでした」と告白。「未来に対して夢も希望も抱けず、勉強して何になるんだろうと思っていました。それに人間嫌いでした。そんな僕が10代後半に映画と出会ったことで180度変わることができたのです」振り返った。
暴力的ないじめの光景が描かれる本2部作。未成年のいじめや自殺などに長年取り組んできた水谷氏は「いじめはどこの学校にもあります。もし自分がいじめられたら我慢してはダメ。親や先生などたくさんの大人に相談し、大騒ぎにして解決することが肝要です」と訴えた。さらに「本作には“正義”という言葉が頻出しますが、正義とは何でしょうか。自分を守るためにいじめを傍観することが一概に悪いとは言えません。正義は、事件が起きてしまったらもうその中にはない。『ソロモンの偽証』に出てくる中学生たちはみんな何かしら自責の念を覚えている。そうした心の中にこそ“正義”があるのです」と持論を述べた。
この日は、会場に集まった中学生から幾つか質問が寄せられた。趣味で映画を撮っているという男子中学生から「どんな努力をしたらいい監督になれますか?」と聞かれた成島監督は、「僕は『チャップリンの殺人狂時代』や木下惠介監督の『二十四の瞳』をはじめ、映画から人生のすべてを教わりました。決して学校の授業ではありません」と述懐。その上で「色んな映画をたくさん見てください。そして見た映画を礎にしわれわれを踏み台にして、将来は日本映画界を背負って立つような監督になってください」とエールを送った。
「ソロモンの偽証 前篇・事件」は公開中、「ソロモンの偽証 後篇・裁判」は4月11日全国公開。
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