菊池亜希子、よしもとばなな「海のふた」映画化に主演!三根梓と“かき氷屋”舞台に心の交流描く
2015年3月12日 06:00
[映画.com ニュース] よしもとばなな氏の代表作のひとつとして知られる「海のふた」が豊島圭介監督のメガホンで映画化され、菊池亜希子が主演していることがわかった。撮影は昨年5月25日~6月1日、静岡・土肥で行われており、よしもと氏は「私の第二のふるさと土肥が美しく撮られていて、いつも家族で歩いた場所ですばらしい人たちが真摯に演技をしている、それだけでもう幸せ!」とコメントを寄せている。
同作は、よしもと氏にとって初の新聞連載小説として2003年11月~04年5月に読売新聞紙上で連載された同名作が原作。よしもと氏が毎年夏に家族で訪れてきた西伊豆の海岸が舞台となっており、伝説的なインディーズミュージシャン、原マスミの名曲にインスパイアされて執筆した作品だ。
菊池は、新進気鋭の岨手由貴子監督が脚本も兼ねたオリジナル作品「グッド・ストライプス」(初夏公開)で中島歩とともにダブル主演を果たすなど、主演作が相次いでいる。今作で演じるのは、海も山も人も寂れてしまった故郷・西伊豆の小さな町で、大好きな“かき氷”のお店を開く主人公・まり。顔に大きな火傷の痕があるはじめちゃん(三根梓)と一緒に店を切り盛りしながら、平凡な日常を生きることのせつなさ、悲しみ、喜びなどを通して、心の再生を描く。
出演に至った経緯は、マネージャーから原作を渡されたことから端を発したようで「映画化するという詳しい話は聞いていなくて、余計なことを考えずにフラットな気持ちで読みました。水を飲むかのように、体がごくごくと言葉を飲むような感覚。すごく自分の体の中にある成分と近い物語だと感じました」と語る。それだけに、「この物語が映画化されると聞いて、嬉しいのはもちろんだけどそれよりも、あまりにも肌の合うこの作品に自分が出演するという事実を、ストンと体全体で受け止めた感じです」と振り返った。
撮影を終え、完成した作品を見て感じたのは「この映画は、女の子の夢物語なんかでは決してなく、日々の営みに対する讃歌のような映画です。土地ときちんとつながること。人ときちんと向き合うこと。それが、生きるということ」と明かす。そして、「見たらきっと、体の中にある大切な何かがキンと響くはず。かき氷を食べたときの、染みるけど愛おしいような、あの感じ。ぜひ、味わいにきてください」とアピールも忘れなかった。
一方の三根は、心に傷を抱えた女性を演じ新境地開拓。オファーを受けたときは「はじめちゃんは少女のような、大人のような、人あらざる者のような、いろんな顔をもつ女の子で、そんな魅力的な役に挑戦できることが嬉しく、気合が入った」という。演じるうえでは悩むこともあったそうだが、「監督とたくさん話をするようにしたり、菊池さんのお芝居をしっかり見て、その時感じたものを大切にするようにしました。そう心がけているうちに、少しずつはじめが自分の中におちていったように思います」と話している。
なお、「真冬でも行列のできるかき氷屋」で話題を呼ぶ、神奈川・鵠沼海岸の名店「埜庵」の石附浩太郎氏が、本編に登場するかき氷の監修を担当。小林ユウキチ、天衣織女、鈴木慶一らが共演。主題歌は蘭華の「はじまり色」に決まった。
「海のふた」は、今夏に東京・新宿武蔵野館ほか全国で公開。