“ミスターNHK”磯村尚徳、外交論を熱弁「知恵比べであり、命がけの仕事」
2015年2月27日 15:00

[映画.com ニュース] ドイツの名匠フォルカー・シュレンドルフ監督作「パリよ、永遠に」の特別試写会が2月26日、東京・港区のドイツ文化会館で行われ、ジャーナリストの堀潤氏、“ミスターNHK”の異名を持つ元キャスターの磯村尚徳氏が出席。国際経験豊かな2人がトークセッションに臨み、外交と報道のあるべき姿を提示した。
実話に基づいたシリル・ジェリーの舞台「Diplomatie」を映画化。第2次世界大戦末期、ナチス・ドイツによって計画された仏パリ壊滅作戦の裏で繰り広げられた、パリ破壊を命じられたドイツ軍将校・コルティッツと、パリを守ろうとしたスウェーデン総領事・ノルドリンクの一夜の攻防を描く。
歴史的・文化的に大きな価値があるパリをめぐる外交合戦を映し出した物語に、2人は大満足の様子。堀氏は「先の大戦の不条理や人間のコミュニケーションが何をもたらすかということを、感情移入してい見ていた」と話し、1958年に海外特派員としてパリに赴任し、当時の様子を知る磯村氏は「フランスの一般の人も含め、ドイツと戦争したというよりも、ナチス・ドイツと戦争した(という認識)。ナチスの直属はSS(ナチス親衛隊)という部隊であった」「ナチスは悪いけれども、必ずしもドイツに反感を持っているわけではない」と見解を述べた。
「外交とは何か」という問いについて、磯村氏は「福沢諭吉は『西洋事情』の中で、『禽獣(きんじゅう)の世界なり』と言っている。けだものの、弱肉強食の世界。イギリスの有名な外交官は、『外国に行き自国の利益のために嘘をつく紳士である』という言い方をしている。外交は知恵比べであり、命がけの仕事」と説明。その上で日本の外交姿勢の問題を痛烈に指摘し、「この間の人質事件で、外交が命がけの仕事になるということがわかったと思う。(映画の)ノルドリンクとコルティッツの掛け合いのように、背負っているものは命がけで、そういうものが本来の外交」と熱弁した。
さらに、長らく報道の第一線で活躍してきた磯村氏だからこそ、「日本で一番遅れているのは政治であり、それよりも遅れているのはメディアです。日本のメディアは公園の鳩といいまして、1羽が舞い上がるとみんな舞い上がる。偉そうに言うのは趣味じゃありませんが、元からそういう傾向がある」と現状に苦言を呈す。そして、「外交も報道も、最終的には人間と人間の直のもの」といい、「今も現役のあなた(堀氏)にぜひお願いしたい。人間に会って、旅に出て、本を読む。ぜひ頑張っていただきたい」と後輩へエールを送っていた。
「パリよ、永遠に」は、アンドレ・デュソリエ、ニエル・アレストリュプが主演している。3月7日から東京・渋谷のBunkamuraル・シネマほか全国で公開。
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