諏訪敦彦監督、アラン・レネ監督遺作「愛して飲んで歌って」を語る
2015年2月13日 14:00
[映画.com ニュース]昨年3月に死去したフランスの巨匠アラン・レネ監督の遺作「愛して飲んで歌って」の公開を記念し、レネ監督の代表作「二十四時間の情事」を「H Story」としてリメイクした諏訪敦彦監督のトークイベントが2月12日代官山蔦谷書店で行われた、
「正直、アラン・レネのことはよくわからない。今回この機会もあって、アラン・レネの映画と向き合ってみた」と前置きした諏訪監督は、「H STORYの」編集後にレネ監督にビデオを送った際のエピソードを明かす。「どんな反応があるだろうと思っていたところ、『これはまだ編集が終わってないだろ? 完全に終わったやつを見せてくれ』という返事が返ってきました。その時に僕は吹っ切れたといいますか徹底的にアラン・レネがやっている映画と僕がやっている映画というのは違うんだな、と実感しました。だから僕はアランレネの映画を理解できないんだと」
そして、「僕は映画が世界を映す、映画に世界が映っていることに単純に感動する。それは交換することの出来ない、かけがえのないものが映っているから。それが僕の考えるリアリズムです。レネは真逆。レネは何をやっているかというと、カメラの前にある現実ではなく観客が映画を見たときに想像の中で作り出す世界、そこにある現実に”映画を作り出そうとした”のではないか」とレネ監督の作風を分析した。
遺作となった「愛して飲んで歌って」については、「“登場しない人物”がすべての中心にある。その隠された人物のことをレネだけが知っているというわけでもない。その登場しない人物は実体のない実体としてあって、各々の想像の中のスクリーンで、見えない人物が現実化するのが、レネの映画の領域」と話し、「この映画は、単純に楽しんで見ればよいのではないかと思う。ゴダールとレネの違いは、ゴダールは徹底的に不幸になった人で、レネは徹底的に幸せになった人ではないかと思う。不幸になるよりは、映画を撮って幸せになった方が良いと思うし、ただそこに、彼が闘った領域というのは本当にオリジナリティのある闘いだったと思うし、それを彼は朗らかにやってのけたんだと思う」と感想を語った。
「愛して飲んで歌って」は2月14日岩波ホールほか全国順次公開。
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