共同生活は節約のため?「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」監督が明かす裏話
2015年1月23日 14:00
[映画.com ニュース] 現代社会で共同生活を送るバンパイアたちのゆるくて楽しい日常をドキュメンタリー風につづった、ニュージーランド発のホラーコメディ映画「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」が1月24日に公開される。共同脚本・監督のひとりで出演も兼ねたジェマイン・クレメントが、バンパイア原体験から本作の裏話にいたるまで、映画に劣らず愉快なエピソードを語った。
子どもの頃からバンパイアが大好きだったというクレメント監督は、「5歳の時、たまたま夜中に目が覚めてテレビをつけたらバンパイアの映画がやっていて、それを見てしまったおかげで悪夢をみるようになったというのが最初の体験だよ」と明かす。「10歳の時に僕がリーダーの『ギャング』というチームを作って、みんなでキバをつけてトランシルバニアなまりをしゃべりながら、年下の子どもたちを脅かすということをやっていたんだ」。この思い出からも筋金入りのバンパイアファンであることがうかがえる。
本作で「バンパイア」と並んで重要なキーワードになっているのが「シェアハウス」だ。ニュージーランドではごく一般的な生活スタイルで、本作の企画が持ち上がった2005年頃にはクレメント監督たちもシェアハウスに住んでいたという。自分たちの境遇に加え、ユニークな発想が本作の設定を生み出した。
「長く生き続けていたら孤独にもなるだろうし、シェアしたほうがいいと思ったんだ。あと、バンパイアたちは貴族の出身だけど、長い時間がたてばお金もなくなってくるだろうから、節約のためでもあるんだ」
こうして始まったバンパイアの共同生活はモキュメンタリー形式で描かれており、クレメントと共同監督のタイカ・ワイティティが執筆した脚本に沿っているが、全て即興で演じられた。撮影が始まる前に、ワイティティがスタッフに、クレメンティンが役者にどのようなシーンなのか説明したそうだが、ポイントは役者ひとりずつに個別に指示を出すことだったという。
「例えば踊るシーンなら、ある人には『踊って』と説明して、他の人には『邪魔をして』と説明するんだ。踊っているほうの役者は『真剣に踊って』と指示されているから、邪魔をされると怒るんだよね。そこからアドリブが生まれていくんだ」
そんな演出によりバンパイアたちの個性が際立ち、人間味あふれる言動が笑いを誘う。クレメントは野性味たっぷりな古株のヴラド(862歳)を演じたが、ワイティティ扮する面倒見の良いヴィアゴ (379歳)役は、映画「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」のほかに実在の人物のイメージも取り入れられたそうだ。「タイカのお母さんのキャラクターが相当入っていて、彼は自分のお母さんを演じているんだよ(笑)」
ある日“ディナー”になるはずだった大学生をうっかりバンパイアに変えてしまい、その新米バンパイアが人間をシェアハウスに招きいれたことで巻き起こる大騒動を描いた本作は、トロント国際映画祭ミッドナイト・マッドネス部門や、ジャンル映画の祭典シッチェス映画祭などで観客賞に輝いた。出演作2本を引っさげ、1月22日に開幕したサンダンス映画祭に参加しているクレメント監督は、日本の映画ファンに向けて「ウケてほしい! とにかく笑って!」とメッセージを寄せた。