本田翼&東出昌大、自らの“アオハル“を重ね合わせた「アオハライド」
2014年12月14日 07:00
[映画.com ニュース] 「アオハライド」とは、“青春(アオハル)”に“RIDE(乗る)”という言葉を組み合わせた造語。青春真っ盛りの高校生たちが、それぞれの“青春に乗っていく”姿を瑞々しく描いた青春ラブストーリーである。中学時代の初恋を引きずる主人公・双葉、心に大きな傷を抱えた双葉の初恋の人・洸。互いに惹かれ合いながらもうまく噛み合わない2人のもどかしい思いを体現した、若手注目株の本田翼と東出昌大。撮影を通じ、役柄とともに自ら “アオハライダー”となった2人が、青春を語る。(取材・文・写真/山崎佐保子)
原作は、女子高生の間で絶大な人気を誇る咲坂伊緒による少女コミック。互いに淡い恋心を抱いていた中学1年生の双葉と洸。洸の突然の転校によって離ればなれになってしまった2人は、高校2年生となった4年後、思いがけず再会を果たす。
漫画原作のキャラクターが3次元の生身の人間としてどう表現されるか、原作ファンは否が応でも期待してしまうもの。東出は、デフォルメではなく自然体を心がけたという。「みんなそれぞれが役の用意はしてきたけれど、三木監督の『“キャラクター”で演じるのはやめよう』という言葉から、すっと役に入れた気がします。洸ってキザなセリフも多いので、カッコよく演じようとしたら目も当てられない芝居になるけど(笑)、闇を抱えているからそういう不器用な言い回しになっちゃうんだっていうアプローチで演じたんです。役に近づけていくというよりは、自分の中から洸を出していく感じ。洸を演じるというよりは、洸に“なる”が近い感じ。そんな風に、みんながキャラじゃなくゆっくりと役になっていけた気がします」。
本田は「双葉になれたのかな?」と首をかしげたが、恋や友情に真正面から“突進”していく双葉はまさにハマリ役で、これまでにない本田の魅力が全開となった。「原作も元々好きで読んでいたし、双葉の性格は頭に何となくあって。双葉の良さは出したいけれど、キャラっぽくなりすぎるのもダメだし。三木監督に相談しながらひとつひとつ作り上げて、演じているうちにどんどん双葉のことをわかっていったような感じです」と一歩一歩ゆっくりと歩み寄った。
多忙な青春時代を送った2人だけに、忙しく過ぎ去った日々への思い入れは人一倍。東出は、「男同士で部活のことや将来のことを熱くなってよく話していました」と述懐しながら、「遊園地でダブルデートとかしたかったですね。2人きりじゃなくてダブルなのがポイント(笑)。でも観覧車はカップル同士、別々で乗りたいな。観覧車から降りてきて、『お前らチューとかしてたんだろー』とか言い合ったり」とニヤニヤ。「キャー恥ずかしい!」と顔を覆った本田も、妄想は止まらない。
ふと東出は、本田が席を外した一瞬の隙に「いないから言います(笑)。一緒に芝居をしている撮影中ももちろんかわいいなって思っていたけど、出来上がった作品を見て、改めて本当にかわいいと思いました。“女優ライト”を使ったとかじゃなく、順光だけで自然に撮っていたのに、本当にきれいに映ってる。この映画がキラキラしているのはやっぱり双葉の力が大きいと思いますね」とヒロインを称えた。
最後に東出は、「映画って自分一人で作るものじゃない。このタイミングで、ヒロイン・本田翼さんと組めたことはすごくよかったと思います」と巡り合わせに感謝。そして、そんな新たな代表作の誕生に「素直にうれしいです」とにっこり微笑む本田の笑顔は、まさにスクリーンの中の双葉そのもので、この映画の最大の魅力となったことは間違いない。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
第86回アカデミー作品賞受賞作。南部の農園に売られた黒人ソロモン・ノーサップが12年間の壮絶な奴隷生活をつづった伝記を、「SHAME シェイム」で注目を集めたスティーブ・マックイーン監督が映画化した人間ドラマ。1841年、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク州サラトガ。自由証明書で認められた自由黒人で、白人の友人も多くいた黒人バイオリニストのソロモンは、愛する家族とともに幸せな生活を送っていたが、ある白人の裏切りによって拉致され、奴隷としてニューオーリンズの地へ売られてしまう。狂信的な選民主義者のエップスら白人たちの容赦ない差別と暴力に苦しめられながらも、ソロモンは決して尊厳を失うことはなかった。やがて12年の歳月が流れたある日、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バスと出会う。アカデミー賞では作品、監督ほか計9部門にノミネート。作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門を受賞した。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。