「パワー・ゲーム」の監督が明かす、ハリソン・フォード丸坊主の秘密
2014年11月14日 14:10
[映画.com ニュース] ハリソン・フォードとゲイリー・オールドマンが「エアフォース・ワン」以来の共演を果たした「パワー・ゲーム」。第27回東京国際映画祭のコンペティション部門審査員として来日した監督のロバート・ルケティックに、巨大IT産業を舞台にしたサスペンスについて聞いた。
勝ち組に憧れるアダム(リアム・ヘムズワース)は、IT業界の天才ワイアット(オールドマン)の下で働いていたが、ある弱味を握られ、「IT業界の神」ゴダード(フォード)が率いるライバル社に産業スパイとして送り込まれる。アダムは日本でいうところの「ゆとり世代」。「努力しても報われない」と時代をさめた目で見ている。同作で描かれるのは、こうした若い世代と古い世代の戦いでもある。
ルケティック監督は、「僕は彼らとの間の40代で“ジェネレーションX”などと呼ばれた世代。『努力すれば成功やチャンスで報われる』と教えられて育った」と自らを語りながら、「でも、僕らより若い世代の多くがどんなに頑張っても成功を手に出来ない状況に置かれていて、学生ローンを返せず、仕事すら見つからなかったりしている。時代や価値観の変化などもあるし、まだ答えを見つけてはいないけど、この世代間の断絶や温度差には強い興味を持っていたよ」と製作意図を明かす。
ヘムズワースが象徴する若き世代の前に、壁として立ちはだかるのはフォード&オールドマンという「巨人」。ルケティック監督は「ハリソンとは、彼の所有する十数機の飛行機が格納された巨大な格納庫で会ったんだ。そこで彼は『リアムに若い頃の自分を見ているような気がする』と興味を示してくれた。世代間の距離がいかに生まれたのか? アメリカで富裕層と貧困層の二極化が進み、中産階級がいなくなりかけているという現状を掘り下げている点も『面白い』と言ってくれた」と明かす。日本でも問題視されている世代間ギャップや格差社会が、アメリカでも同様なのに驚かされる。「ゲイリーに関してはやはり、ハリソンとの17年ぶりの共演を強く望んでいたんじゃないかと思う。オファーを出したらすんなりとOKが出たよ」。
実は、フォードとオールドマンが演じるキャラクターには、「名前は言えないけど、実在のIT業界の2人のカリスマを意識した」とモデルがいるという。
「ハリソンは頭を剃っているけど、あれもモデルの人物を意識したからだと思う。というか、実はあれは彼が本番1週間前に自分でやったんだ。携帯電話宛に、突然『剃った』と写真が送られてきた時は驚いた(笑)。結果的に、見たことのないハリソンがいて、ミステリアスな一面を際立たせることになったと思う。ゲイリーに求めたのは、シンプルに意地悪であることとストリート育ちのタフさ。2人が一緒のシーンでは『エアフォース・ワン』での対立を思い出して! と指示を出したんだ(笑)」
「パワー・ゲーム」は、11月15日から全国公開。
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