庵野秀明率いるスタジオカラー、ドワンゴと共同でアニメ短編の「見本市」始動
2014年10月27日 00:00
[映画.com ニュース] 「エヴァンゲリヲン」シリーズを手がける庵野秀明監督率いるカラーは10月26日、第27回東京国際映画祭が開催中の東京・TOHOシネマズ日本橋で会見を行い、ドワンゴと共同で「日本アニメ(ーター)見本市」の始動を発表した。両社がタッグを組み、日本のアニメーションの可能性を探る短編映像シリーズ企画。さまざまなディレクター陣が、オリジナル、スピンオフ、プロモーション映像、ミュージックビデオなどジャンル不問で短編アニメを製作し、公式サイトと公式アプリで毎週金曜日に1本ずつ公開していく。
立案者である庵野監督は、「袋小路に陥っていて、このままだとキッズ向けと深夜アニメしか残らない」とアニメ業界に強い危機感を示し、「今回はプロデューサーに徹して、アニメが本来もつライブな面白さを味わいたい」と企画の意図を説明。現時点で30タイトル前後の製作が予定されており、スタジオカラーのスタッフをはじめ、「フリーの人やCGスタジオも参加する。まだ言えないが、かなり豪華なことになる」と期待をあおった。
見本市のロゴを手がけたのは、昨年長編アニメからの引退を表明した宮崎駿監督で、「3度目のお願いでやっと描いてくれた。そうしたら、タイトルを『日本アニメーター見本市』に変えられちゃった」(庵野監督)。短編アニメ及びアニメーターの見本市という意味合いから、庵野監督がカッコをつけたといい、「まだ、名付け親の宮さんには言ってない(笑)。鈴木さんがチクらなければ大丈夫かな」と客席で会見を見守るジブリの鈴木敏夫氏に念を押していた。
第1弾作品として11月7日から配信されるのは、小説家・舞城王太郎氏が監督デビューを飾る「龍の歯医者」。画コンテに鶴巻和哉氏が参加し、山寺宏一と林原めぐみが声優を務めるなど、無料の短編ながら豪華な布陣だ。また、翌週10日には、ニコニコ生放送で解説番組も放送される。
同日、庵野監督は第27回東京国際映画祭の特集上映「庵野秀明の世界」の一環として、「アニメーター・庵野秀明」と題したトークショーを実施。「風の谷のナウシカ」の製作現場を「宮さんから『人物がへただな』と言われて、巨神兵を担当することに。当時は猫の手も借りたい状態だったと思うが、よくあんなの任せたなと思う」と振り返った。また、アニメーターを目指す若者に対しては「アニメーターとは絵描きであり、カメラマンであり、俳優である。その面白さがわかれば、続けられるし、観察力と洞察力を磨いてほしい」とエールをおくった。
「日本アニメ(ーター)見本市」(http://animatorexpo.com)は公式サイト、公式アプリで視聴可能。10月27日から公式iOS、Androidアプリが公開される。