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降旗康男監督、35年ぶり復活の植木等さん主演「本日ただいま誕生」の秘話を明かす

2014年10月25日 15:20

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トークショーに立った降旗康男監督
トークショーに立った降旗康男監督

[映画.com ニュース] 第27回東京国際映画祭の特別上映作品に選ばれた、故植木等さんの主演作「本日ただいま誕生」が10月25日、東京・TOHOシネマズ日本橋で上映され、降旗康男監督がトークショーを行った。

法永寺の住職・故小沢道雄氏の同名小説を原作に、シベリア抑留中に凍傷におかされ、両足を切断した大沢雄平が、敗戦後の混乱した日本で生き抜いていく姿を描く。1979年の劇場公開後、行方が分からなくなっていた幻の作品が、ハイビジョン版で約35年ぶりにスクリーンに復活。降旗監督は客席で鑑賞し、「見ていくうちに出演している方の半分くらいがあの世に行かれていることがショックで、感無量でした」としみじみと語った。

降旗監督は「植木さんは出演の承諾を得ているから、この脚本でやってもらえないか」とオファーを受け、「テレビ映画を5、6本撮って植木さんとは親しくなっていたので、お引き受けいたしました」。共演陣についても「あの頃の変わった俳優さんを全部集めたんじゃないかと思います」と振り返り、会場の笑いを誘った。

製作資金不足のため、撮影が中断される危機に見舞われたこともあったそうで「キャストのみなさんには、できあがってからしかギャラを払うあてがない。スタッフも責任者にも払うお金がなかった」と壁にぶつかった。それでも、「植木さんの作ってほしいという意思が(所属事務所の)渡辺プロに伝わってできた」と改めて感謝の念を明かした。

原作・脚本を読んだファンから設定の違いについて問われると、「『偉いお坊さんの話は撮りたくない、のたうち回って自分の生きていく道を探し出した人の話が良い』と引き受けるときに話をしたので、台本と映画で違いが出たのかも」と説明。そして、「とにかく形にすることが第一で、みんなで話し合う時間が少なかった。でも、最後に変な人たちが住んでいる海岸の世界に入ることで、見てくださった方がそれぞれ自分の『本日ただいま誕生』を得てくださったら幸せ」と語りかけた。

第27回東京国際映画祭は、10月31日まで六本木ヒルズ、TOHOシネマズ日本橋ほかで開催。

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