TIFF新設部門「CROSSCUT ASIA」タイ映画界の新鋭たちが語るタイ映画の現状
2014年10月25日 05:00

[映画.com ニュース] 第27回東京国際映画祭に新設されたCROSSCUT ASIA部門で10月24日、「タイ映画の現在進行形 ニューリーダーたちは語る」と題したシンポジウムが開催された。
20世紀末から21世紀初頭にかけて「ナンナーク」(2001)、「わすれな歌」(02)などの傑作により“タイ映画ルネッサンス”が花開き、10年にはアピチャッポン・ウィーラセタクン監督作「ブンミおじさんの森」が、カンヌ映画祭で東南アジア映画では初めてパルムドールに輝くなど、近年躍進を続けている。今回は、同部門に出品された「コンクリートの雲」のリー・チャータメーティクン監督、「アタックナンバーハーフ」のヨンユット・トンコントーン監督、「ワンダフルタウン」のアーティット・アッサラット監督が出席し、現在のタイ映画事情を熱く語った。
それぞれ監督業のほかに、プロデューサー業や配給会社の経営、編集技術者としてなど、多方面から映画業界に関わっている3人が声を揃えて断言したのは「今のタイ映画市場は二極化している」ということ。国民が必ず気に入る大作か、芸術系の小さなインデペンデント作品かのどちらかに分かれるといい「今後、中規模の映画はなくなるでしょう」と予想した。デジタル技術の普及で大量に映画が撮られるようになり、製作したものの配給にたどり着けないという作品も多いという。
しかしヨンユット監督は、タイは映画のラボやスタジオなどのインフラが整っているとし「ハリウッドのポストプロダクションを請け負っていたことが大きい。ただで財産を残していってくれたと思っています」とニッコリ。アーティット監督も「ビジネスの観点で見れば、映画は今後さらに難しくなっていくかもしれないが、芸術の観点で見れば無限の可能性がある。若い監督にも期待しているし、私はすごく希望をもっています」と今後のタイ映画の発展に期待を寄せた。
また、編集の巨匠とも言われ、同映画祭のアジアの未来部門に出品されている日本映画「マンガ肉と僕」の編集も手掛けたリー監督は、「映画は映画。差があるとすれば、大作を編集するときは、観客を思い浮かべ、インディーズ映画の場合は監督の顔を思い浮かべます」と明かし、技術者からすれば映画はどのようなものでも芸術だと言い切った。
最後にヨンユット監督は、自身がプロデューサーを務め、現在日本でも公開中の「愛しのゴースト」がタイで大ヒットを記録したことについて「もともとの幽霊伝説の人気が高いというのもありますし、現代語をちりばめて大胆な作りにしたのも一因。タイ人はとにかく面白いこと、ギャグが大好き。どれだけ面白いか劇場に行って確かめてください」と映画とタイ人の陽気さをアピールしていた。
フォトギャラリー
関連ニュース






映画.com注目特集をチェック

ミッキー17
【史上最悪の“ブラック仕事”爆誕】転職したら…死んで生き返る“無限労働”だった!?
提供:ワーナー・ブラザース映画

日本の映画館は高すぎる!?
【そんな人に朗報】衝撃の価格破壊!! 2000円→750円になる“神・裏ワザ”教えます
提供:KDDI

「イノセンス」4Kリマスター版
【いま観ずに、いつ観る?】公開20周年記念、劇場“初”公開!“究極”の「イノセンス」が解放される
提供:TOHO NEXT

石門
就活中に妊娠、卵子提供のバイト、生活に困窮…壮絶、しかし共感する驚愕体験【100%超高評価作】
提供:ラビットハウス

35年目のラブレター
【感動実話に“とんでもない絶賛”の嵐】噂を聞きつけ実際に観てきたら…忖度なし正直レビュー!
提供:東映

異常な映画みつけました
【クレイジー】壮大VFXを監督がほぼ1人で製作、完成に12年、正確に言うと未完成…面白すぎる
提供:Henge