文化系女子共感必至の「フランシス・ハ」 N・バームバック監督が語るタイトル命名秘話
2014年9月12日 19:20
[映画.com ニュース]「イカとクジラ」のノア・バームバック監督の最新作「フランシス・ハ」が9月13日に公開される。主人公フランシスを演じた女優グレタ・ガーウィグとの共同脚本で、ニューヨークでプロダンサーを夢見ながらも、なかなか人生がうまく進まないアラサー女子の日常をスタイリッシュなモノクロ映像でいきいきと切り取っている。バームバック監督から話を聞いた。
親友とのシェアハウス生活が破たんし、恋人とも破局、お金も仕事もないが、たくましく前を向いて生きていくフランシス。原題「Frances Ha」をそのまま日本語読みした邦題だが、この個性的なタイトルはどのような経緯で生まれたのだろうか。
「この作品ほど、タイトルが作品の構成に影響したことはなかった」と明かす。最初の段階では「フランシス」だったそうだが、「女優フランシス」という映画が存在するため、別タイトルを考案することになる。「イニシャルもいいかもと考えて、『クリスチーネ・F』という作品を思い出したんだ。とてもインパクトのあるタイトルだったから、そんなタイトルをイメージした。キャラクターの名前が、作品としての大きなインパクトになればいいと思っていた。そして、ラストのアイデアを思いついた。完成後に観客がそのシーンを気に入っている様子をみて、いいアイデアだったとやっと確信したんだ」
主題歌であるデビッド・ボウイの「モダンラブ」や、フランソワ・トリュフォー作品などで知られる作曲家ジョルジュ・ドルリューの楽曲などが、モノクロの世界を鮮やかに彩っている。劇中曲についてのこだわりをこう語る。
「『モダンラブ』ははじめて買ったレコードの最初の曲で、個人的に大好きな曲なんだ。レオス・カラックス監督の『汚れた血』でも印象的に使われていたね。『フランシス・ハ』の曲は、とにかくエネルギーがあって、ロマンティックで、かつエモーションに溢れているというイメージを思い描いていた。『モダンラブ』も、そういう意味ではピッタリだったし、エモーションという点ではドルリューの曲は優れていた。彼の音楽はすごく映画的な優雅さに溢れている。映画的にロマンティックな音楽を起用するのは今回が初めてで、最初は大げさすぎるかなと思ったけれど、いざ使ってみると、すごく映画の雰囲気に合っていて驚いたよ。きっとフランシス自身がエモーショナルなキャラクターでエネルギッシュな性格だからかもしれない。ただモノクロで撮影していたし、あまりにもヌーベルバーグへのオマージュが強すぎるかなとバランスの問題も最後まで悩んだ。でも結局はすごくフィットしたと思う」
本作は公開時4館からスタートだったものの、口コミで評判が広がり、233館まで拡大され大ヒットを記録。クエンティン・タランティーノが「2013年の映画ベスト10」に選出するなど、世界中で高く評価されている。「いま僕が作るような作品は、かつて70年代にスタジオが盛んに作っていたけれど、今はそうではない。そういう意味では、自分が作りたい作品を作れる位置にいられるのは、非常にラッキーだと思う。ただ作っている方としては、作品の規模はあまり考えずに、どの作品も成功を収めて欲しいと思って取り組んでいるよ。作品が成功すれば、その次に取り組む作品を作るのは多少ラクになることもある。それが毎回起きてくれるといいんだけどね」と成功を喜びながら、今後への期待を語った。
「フランシス・ハ」は9月13日、ユーロスペースほか全国順次公開。
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