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驚異の映像で海上を捉えたドキュメンタリー「リヴァイアサン」監督に聞く

2014年8月22日 16:45

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ルーシァン・キャスティーヌ=テイラー(左)とベレナ・パラベル
ルーシァン・キャスティーヌ=テイラー(左)とベレナ・パラベル

[映画.com ニュース] 網の中でもがく魚や、空中を飛ぶカモメの視点からなど、これまでにない手法で漁船漁業を映し出した海洋ドキュメンタリー「リヴァイアサン」が公開する。ヨブ記の引用から始まる本作は、圧倒的な映像と音響で観客を包囲し“黙示録的”な世界をつくり出す。ハーバード大学の感覚人類学研究所に所属する映像作家兼人類学者ルーシァン・キャスティーヌ=テイラーとベレナ・パラベルのふたりが来日し、撮影を振り返った。

ふたりはハーマン・メルビルの「白鯨」の舞台となった、米国マサチューセッツ州のニューベッドフォード港から出港した大型底びき網漁船に乗り込んだ。GoProと呼ばれる11台の超小型カメラを駆使し、船員や監督自身の体に取り付けるなど、あらゆる場所からの撮影を試みた。

タイトル「リヴァイアサン」は、ヨブ記に登場する海の怪物の名前だ。本作のテーマについてキャスティーヌ=テイラーは「漁業による環境問題として扱う考えは一切ありませんでした。そのことだけで映画を作ると、実際の人間と世界、動物との複雑な関係性、総合的な世界を描けないと思ったのです。人間が他の種、宇宙との関係性がどれだけ大事であるのか、それが過去も今も変わりないという、人間と世界の関係を描いています」と説明する。そして、「この映画は空間の外にある闇の中に存在します。人間と世界との神話的、歴史的な関係性について反省を促すような時間の外にある設定で、決して2012年ではない映画を作りたかったのです」と語る。

画像2(C)Arrete Ton Cinema 2012

荒れ狂う海上や漆黒の夜の闇に浮かぶ光、息絶え絶えに死を待つ魚など、おびただしいショットの連続の中、船員たちの仕事ぶりも淡々と映し出す。船員たちはこの撮影をどのように捉えていたのだろうか。

「既存のドキュメンタリーのようにインタビューなどがあるわけではなく、一緒に作ろうと思いであることはわかってくれたようです。同時に私もどのような映画になるのかわからなかったので、カメラの位置をどうしようとか、船酔いだとか、すべての迷いを共有できる体験になりました」(パラベル)、「そのままの彼らを映し出したいと思っていましたし、彼らは家族に自分がどれだけ危険な仕事をしているのか、職場の様子を伝えたいという思いがあったようです。完成した作品を見てもらうと、決して、テレビ番組のようなものではないと理解し、海がいかに大変なものかという体験を映しこんでいると納得してくれました」(キャスティーヌ=テイラー)

90分に満たない作品だが、陸上で撮影した時間を含め250時間を超えるフッテージを編集した。ふたりが身を挺して撮影した映像が、詩のように、音楽のように組み合わされ、この世界で人間の存在を問いかける唯一無二のドキュメンタリーに仕上がった。パラベルは「編集では、何か見慣れないものを入れ込みたいという思いがありました。自分にとって異物であるけれど、感情的につながるものです。恐怖や冷たさ、寒さ、暗さ、幻覚の様なものを感じさせるショットが自分たちの船の上の経験とリンクしてきたので、そういうものを選びました。そして編集の過程の中で、私たちは人間についての終わりないディスカッションを繰り返したのです」と述懐した。

リヴァイアサン」は、8月23日からシアター・イメージフォーラムで公開。


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