ジャン=リュック・ゴダール、カンヌ映画祭をドタキャン 初の長編3D映画に賛否
2014年5月23日 22:40
[映画.com ニュース]4年ぶりの新作「Adieu au langage」が第67回カンヌ映画祭のコンペティション部門に入ったジャン=リュック・ゴダールが、大方の予想通りカンヌ訪問をドタキャンし、またまた話題を振りまいた。
本作はゴダールによる長編3D映画なだけに、これまで以上に注目度も高かった。もっとも、作品を見ると3Dである醍醐味はほとんどなく、なぜ3Dにこだわったのかが謎だ。1組の男女の出会い、犬を人間のメタファーとしてとらえた映像などに、戦争の歴史的モンタージュがかぶさり、世界を憂うフレーズが連発される。「もったいぶり過ぎ」という批評もあり、地元フランスでさえ反応は賛否に分かれた。
終盤を迎えた映画祭では、連日力作が上映されている。デビッド・クローネンバーグがハリウッドに群がる人間関係を皮肉たっぷりに描いた「Maps to the Stars」、「カポーティ」のベネット・ミラーが実話の殺人事件をスティーブ・カレル、チャニング・テイタムの意外な顔合わせで描いた「Foxcatcher」、ダルデンヌ兄弟がまったくグラマラスではない普通のヒロインにマリオン・コティヤールを起用しダルデンヌ節を展開する「Two Days, One Night」など。とくに「Foxcatcher」で別人のような外見とともに静かなる名演を見せたスティーブ・カレルは、審査員がハリウッドスター・アレルギーでなければ最優秀男優賞は妥当と思える。女優陣ではコティヤールと「Maps to the Stars」のジュリアン・ムーア、ミシェル・アザナビシウスがチェチェンの内紛を描いた「The Search」に主演したベレニス・ベジョが目立った。
ただし、今年は女優よりも男優にスポットのあたる作品が多い印象だ。クローネンバーグ作品のほかに、ミッドナイト上映されたSFロードムービーの「The Rover」に主演したロバート・パティンソン、同じくミッドナイト上映作品の西部劇「The Salvation」で、渋いフェロモンを放出したマッツ・ミケルセン、ある視点部門のアルゼンチン映画「Jauja」に主演したビゴ・モーテンセンら。さらに「ドライヴ」「オンリー・ゴッド」で最近カンヌの常連となっているライアン・ゴズリングは、今回初監督作「Lost River」をある視点部門で披露した。一見いつの時代かはっきりわからない、アメリカの忘れられた辺境の町に住む母と子どもたちの物語。ノスタルジックでファンタジックななかに、デビッド・リンチの影響をうかがわせるミステリアスなトーンが加わり、摩か不思議な味わいの作品となった。
コンペティションに残る期待作はケン・ローチ、カナダの気鋭グザビエ・ドラン、ジュリエット・ビノシュ、クリステン・スチュワート、クロエ・グレース・モレッツが共演するオリビエ・アサイヤス監督作。果たして最後の最後に伏兵の登場となるかどうか、気になるところだ。(佐藤久理子)
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内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
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