前作に続き家族がテーマ「ある過去の行方」アスガー・ファルハディ監督に聞く
2014年4月18日 13:00

[映画.com ニュース]前作「別離」で米アカデミー賞外国語映画賞、ベルリン国際映画祭金熊賞に輝いた、イランを代表するアスガー・ファルハディ監督。その彼が初めて、国外で映画を撮る場所として選んだのがパリだった。4月19日に公開する新作「ある過去の行方」は、離婚を成立させるためイランからパリに戻った元夫と、今は新しい恋人と子どもたちとともに暮らす元妻が、「ある秘密」を知ったことによって複雑な状況へ追い込まれる、やるせなくも胸を突く物語だ。前作に続き家族をテーマにメガホンをとった監督に話を聞いた。(佐藤久理子)
「どちらの選択がいい悪いという問題ではありません。ただ今日の複雑な社会や人間関係が、こうしたジレンマをより困難なものにさせていると思います。社会はつねに進歩し、前進していくために、わたしたちは過去をおざなりにしがちです。でも現在は過去に起きたことの必然の結果でもある。過去にちゃんと向き合わない限り、明るい未来は訪れないのではないでしょうか」
「脚本を書くのにとても時間が掛かりました。キャラクターたちをリアルにしたいと思ったからです。とくにヒロインのマリー=アンヌは、ある意味フランス人らしさを出したいと思いました。思ったことを言葉にする、はっきりと主張するといった面です。でもその一方で、カリカチュアには陥りたくはありませんでした。さらにわたしはこの映画で、国民性の違いよりも人間的な共通点に焦点を当てたかった。わたしの脚本の構造はA地点に始まり、B地点で終わるというものではありません。途中何度もスパイラルを繰り返し、中心で終わるのです」
「わたしが俳優に求めるものは、繊細さとインテリジェンス、そして映画をけん引するための人を引きつけるエネルギーです。「アーティスト」の彼女を見て、すぐにそれを持った女優だと思いました。そして本人自身も、とても地に足の付いた魅力的な人でした。自分自身とは異なるマリー=アンヌの不安定さをよく表現してくれたと思います」
(C)Memento Films Production - France 3 Cinema - Bim Distribuzione - Alvy Distribution - CN3 Productions 2013
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