レオナルド・ディカプリオが解き明かす「ウルフ・オブ・ウォールストリート」製作秘話
2014年1月31日 10:00
[映画.com ニュース] マーティン・スコセッシ監督作「ウルフ・オブ・ウォールストリート」で、主演のレオナルド・ディカプリオがあられもない姿を見せている。一体何がディカプリオを突き動かしたのか。日本公開を直前に控え、来日を果たしたディカプリオが本作への思いを語った。
貯金ゼロから巧みな話術で年収49億円を稼ぎ出すまでになった、実在の証券マンの栄光と破滅を描く本作。原作(著者はディカプリオが演じたジョーダン・ベルフォート本人)を読み、映画化を熱望したというディカプリオだが、ジョーダンという男や物語のどこにひかれたのか。自らとの類似点やウォール街とハリウッドの間の共通点を見出したのだろうか。
「似ている部分は……、ないことを願うよ(笑)。何よりひかれたのは人間の闇を描いているという点。ウォール街に限らず、素早くお金を稼げる業界というのは、人間の欲を駆りたてる性質を持っている。ウォール街では常にこうしたことが起こり、30年ごとに破綻を招いている。つまり過去の教訓を全く得ていないんだ。誰かが抜け穴を見つけ、人を陥れることを繰り返す。ジョーダンは自分が何を失ったかを振り返り、間違ったことをしたと悔いて警鐘を鳴らす意味でこの本を書いたんだ。だからこそ、人間の闇が正直に描かれているし、実際、僕と会った時も何ら隠すことなく、恥ずかしい部分まで包み隠さず話してくれた。そこにも魅了されたね」。
49億円を稼ぎ、クスリと美女に骨抜きにされ、泥酔状態で夜中にヘリで自宅に不時着する、不愉快だけど憎めない男。まさにこの強烈なキャラクターの体現こそ、5度目となるスコセッシ監督とのタッグにおける「新たな発見だった」という。
「監督は僕らに自由を与え、アドリブも許してくれた。5回の仕事を重ねて気づいたのは、監督にとっては物語がどう始まり、どう終わるかは大事ではなく、登場人物がどう物語を作るかが重要なんだということ。『タクシードライバー』も『レイジング・ブル』もそう。主人公がどういう男かを見せることが物語となる。そこに改めて気づかされたよ」。
では、具体的にどのようにこの破天荒な主人公が出来上がったのか。「現場に入る時はローマ皇帝になった気分だった」と語るディカプリオだが、まさに現場の空気が登場人物たちを肥大化させていった。
「例えばスピーチのシーン。頭の中で考えていたけど、現場で周りに『もっとやれ!』と煽られると、その空気に入り込んでしまい、やってみたら計画と全く違うものになっていたんだ。セックスやドラッグのシーンもやるほどに気持ちが楽になっていき、役に入り込むほどに不思議とショックなシーンがショッキングではなくなっていったよ(笑)」。
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