松たか子20年ぶり歌舞伎座に登壇 山田洋次監督と花道を練り歩き
2013年12月26日 14:50
[映画.com ニュース] 山田洋次監督が松たか子主演で初めて手がけたラブロマンス作「小さいおうち」のプレミア試写会が12月26日、東京・銀座の歌舞伎座で行われた。歌舞伎座で映画が上映されるのは、2006年8月に市川海老蔵の初主演作「出口のない海」以来約7年ぶり、新開場後の歌舞伎座では初めてのこととなる。松にとっては、初舞台となった「人情噺文七元結」(1993)以来、実に20年ぶりの登壇となった。
松と山田監督をはじめ、出演の黒木華、吉岡秀隆、橋爪功、吉行和子、室井滋、中嶋朋子、夏川結衣、小林稔侍、倍賞千恵子ら総勢14人は、歌舞伎座前に結集。沿道にも多くのファンが詰めかけ、和服姿の女優陣の姿にため息を漏らした。
松と倍賞、山田監督は笑顔で花道を練り歩き、客席に手を振った。山田監督は、「誠に晴れがましい場で面食らっております。新開場した歌舞伎座で初めての映画上映に僕の作品を選んでいただき、とても光栄に思っております」。松は、花道からの登壇を嫌がる山田監督を説得したという。劇中で夫婦を演じた片岡孝太郎が京都・南座での公演のため欠席したが、「孝太郎さんだけいられないなんて残念。あとで『大丈夫だったよ』となぐさめてあげます」と語った。
ベテラン陣も、歌舞伎座という舞台に緊張の面持ち。橋爪が「東京に出てきたばかりのころ、立見席でよく歌舞伎を見ていた。小林(稔侍)君と舞台を踏みしめております」と話せば、吉行も「一生踏めないであろう歌舞伎座の舞台に感動しています」と感無量の面持ち。そんななか、倍賞は「SKD(松竹歌劇団)時代と、(山田組初参加となった)『下町の太陽』がヒットしたときに、歌いながら登壇したことがある」と述懐していた。
同作は、中島京子氏が第143回直木賞を受賞した同名小説が原作。東京の赤い三角屋根の“小さいおうち”を舞台に、玩具会社勤務の旦那様と妻の時子、5歳の恭一ぼっちゃん、仕えて暮らす布宮タキのささやかな日常とともに、旦那様の会社で働く青年・板倉正治と時子の淡い恋愛事件に秘められた真実が、60年の歳月を経て紐解かれていく姿を描く。「小さいおうち」は、1月25日から全国で公開。