5年間の映画製作禁止処分を下されたロウ・イエ監督が語る新作「パリ、ただよう花」
2013年12月20日 10:30

[映画.com ニュース] 天安門事件を題材にした「天安門、恋人たち」(2006)を手がけ、中国当局から5年間の映画製作禁止処分を下されたロウ・イエ監督の新作「パリ、ただよう花」が、12月21日に公開される。「検閲を通す必要もなかったし、撮りたいと思う場所で自由に撮れた」と禁止令期間中の製作をロウ監督が振り返った。
北京出身でフランス在住の作家リウ・ジエが自らの体験も交えて、インターネットで発表した自伝小説「裸」を映画化。パリ、北京というふたつの都市で居場所を求めてさまよう主人公ホア(花)が、異なる人種や文化の間で揺れ動きながら、愛欲におぼれていく姿を描いたラブストーリー。フランス生まれの中国人女優コリーヌ・ヤンと、「預言者」のタハール・ラヒムが共演する。
前作「スプリング・フィーバー」と本作は、活動禁止令の期間に製作された。「禁令はあってはならないものだと思いますが、自分にとってはいい機会になりました。それに中国の禁令処置を世界に知ってもらう機会になったと思います。禁令の間に撮った映画は検閲を通す必要もなかったし、撮りたいと思う場所で自由に撮れた。自分の望みどおりに作れて、映画監督であることを心底、楽しみました。映画とは常にそうあるべきです」と語る。
監督にとって初の仏語劇で、俳優たちの仏語のセリフを聞きながら、ヘッドホンで同時通訳を聞いて撮影に臨んだ。「映画監督が母国語以外の映画を監督するのは、その監督の経験や感性への挑戦となります。具体的に言うと、言葉を理解しないことで、監督の注意は、俳優がセリフを喋っているときの他の側面にシフトされます。ムードやイントネーション、トーン、リズム、ジェスチャーなど、言葉を越えた表現です。それは監督の決定を、ある種、視覚的で身体的な表現の方向に傾けることになります」

原作で描かれるパリの日常生活にひかれたそうで、「パリという都市には、旅行者が行く“美しい花のパリ”というイメージがあると思います。けれどリウ・ジエの書いた小説には、日常の生活がありました。旅行者ではなく、ある中国人がパリと中国の間を行き来して生活している。という感覚。リウ・ジエはこの映画に驚いていましたよ。よく知っているパリが、よりリアルに描かれていたから」
そして、監督にとって異国であるパリの撮影へのこだわりをこう明かす。「いろんな監督がパリを舞台にして、いろんな愛の形を撮っているけど、どの監督もパリと愛を交わしているんだ。だから僕は、そういう監督たちとはちょっと違う、別のテイストでパリの美しさを撮ったつもりです。この映画を作るに際して、いろんな監督が撮ったパリを見ました。大島渚監督の『マックス、モン・アムール』(1986)もそのひとつ。今見ると、当時の大島監督の気持ちがよくわかるような気がしました。それと、密室でのカメラワークは、神代辰巳監督のロマンポルノ作品を参考にしたりもしました」
「パリ、ただよう花」は12月21日渋谷アップリンク、新宿K’sシネマにて全国順次公開。本作公開を記念し、日本を代表する挿絵画家の宇野亜喜良氏が本作をイメージした描き下しイラストが披露されたほか、ロウ・イエ監督の過去作を紹介する特集上映(1作品一律800円)が2014年1月4日から渋谷アップリンクで開催される。
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