中村蒼「東京難民」主演で転落ホームレス役、起用理由は“難民感”?
2013年11月5日 14:50
[映画.com ニュース] 俳優の中村蒼が11月5日、都内で行われた主演作「東京難民」(佐々部清監督)の完成披露試写会に出席した。負債を抱えた父親の失踪を機に、瞬く間にホームレスに転落する元大学生を演じた中村は、「今まで経験ない役で不安もあったが、カメラの前で100%ぶつけた。自分も含めて、いつ誰がこうなってもおかしくない」。佐々部監督は「実際会ってみて、変な真面目さや昭和の雰囲気から“難民感”が出ていた」と中村起用の理由を明かした。
中村にとっては「行け!男子高校演劇部」以来約2年ぶりの映画主演。佐々部監督は「不思議なことに事務所の机に、1年以上も蒼のプロフィールが置かれ続けていて。ふだんは棚に片づけたり、ひどいときは捨てちゃうんだけど(笑)。そういう縁も導いてくれた」。親からの仕送りが途絶え、ネットカフェ難民、ホスト、そしてホームレスと負のスパイラルから抜け出せない青年という役どころに、中村は「今までの現場と違って、どんどん気持ちが落ちていった」と述懐。それでも「ほぼ順撮りだったので、気持ちの作り方には苦労しなかった」と語った。
「半落ち」「ツレがうつになりまして。」など現代社会と向きあってきた佐々部監督が、脚本の青島武と4度目のタッグを組み、福澤徹三氏の同名小説を映画化。「今の日本をエンタテインメントの形で、ちゃんと切り取ることができた。若い人にはもちろん、国を導く政治家にも見てほしい。来週あたり、安倍さん(安倍晋三内閣総理大臣)にDVDを送ろうかな」と佐々部監督。さらにタイトルをからめ「“東京五輪”なんてやっている場合じゃないという映画」と本作のテーマを投げかけた。
完成披露試写会には中村と佐々部監督に加えて、共演するヒロイン役の大塚千弘、ホストを演じる青柳翔が出席し「私も夢を追いかけ、15歳で東京に出てきた。自分が経験した心細さを演技に重ね合わせた」(大塚)、「ホストの世界は縁がないので、最初はまったくわからなかったが、実際に働くホストの皆さんとお話して、夢に向かってガムシャラに頑張っているという点に共感した」(青柳)と役作りを振り返っていた。
「東京難民」は2014年2月から全国で公開。