三谷幸喜監督「清須会議」の世界進出に向け英語でスピーチも、大泉洋がダメ出し
2013年10月24日 20:30
[映画.com ニュース]三谷幸喜監督の第6作となる時代劇「清須会議」が10月24日、第26回東京国際映画祭のクロージングとして上映された。日本映画のクロージングは7年ぶり。時代劇ということで役所広司、大泉洋、小日向文世、佐藤浩市、鈴木京香の出演者は着物姿で、三谷監督は、劇中で織田信長(篠井英介)が着た甲ちゅう姿で舞台挨拶を行った。
キャストの着物は、同作の衣装の黒澤和子さんがそれぞれの役のイメージカラーに合わせ見立てたもので、役所は「クロージングへの感謝を込めて、ひと足早いお正月のような格好で来ました。1人だけ、訳の分からない人がいますが」と指摘。その矛先となった三谷監督は開口一番、「ものすごく暑いです」と話すと、登壇者を含めた会場の笑いを誘った。
お市を演じた鈴木の着物は、劇中の衣装を現代風にアレンジしたもので、「違った雰囲気で着られて、着物って素敵ですね」と笑顔。佐藤は、「日本で高名な武将が亡くなった時、多少の誇張はあっても、こういうことがあったということを海外の人にも知ってもらいたい」と外国人の観客に向けてもアピールした。
だが、羽柴秀吉役の大泉は、「秀吉のイメージは黄色か金なのに、黒澤さんが『派手なものを着るわけにいかないわよね』と言って、それに沿ったこの色になった。監督を見たら、俺も別に金で良かったんじゃねえかと思った」とクレームをつけた。
キャストと司会者がやり取りをしている間、三谷監督はしきりに汗をぬぐいながら「この後、英語のスピーチが控えているので、それで頭がいっぱい」、「何も耳に入ってこない」と完全に自身の世界に没入。鈴木が、「いつもの監督とは違いますね。スピーチ、楽しみです」とさらにプレッシャーをかけた。
そして、写真撮影後にいざ本番。持っていたカンニングペーパーを佐藤に渡し、話し始めた三谷監督は、「Can you see this pill case?(この印ろうが目に入らぬか)」(水戸黄門)、「This world sucks…(いやな渡世だなあ)」(座頭市)、「Daddy!(ちゃん!)」(子連れ狼)など、日本の代表的な時代劇の決めゼリフをジェスチャー入りで連発した。
しかし、肝心の「清須会議」を説明するくだりで頭が真っ白になり、佐藤の持つカンペを“チラ見”しながら英語で「必ず、世界の皆さんに楽しんでもらえると思っています」など、なんとかミッションを完遂。盛大な拍手と笑いを浴びていたが、大泉だけは「別に日本語で言ったっていいじゃない。通訳さんがいるんだから。しかも、違う作品のセリフばっかり」と最後までグチッていた。
「清須会議」は、織田信長が本能寺の変で倒れた後、その跡目を決めるため清須城に集まった家臣の柴田勝家、羽柴秀吉らがさまざまな策謀を繰り広げる姿を描く。11月9日から全国で公開される。