第65回カンヌ映画祭「ある視点」部門グランプリのメキシコ映画「父の秘密」が公開
2013年8月18日 16:00
メキシコの新星、マイケル・フランコ監督の長編第2作。母親を失った父娘が、お互いを気づかうあまりすれ違っていく様を丁寧に切り取った心理ドラマ。小さなひび割れがやがて大きな裂け目となって、いつの間にか日常から逸脱してしまう父娘の姿を静かに描き出しながら、“愛しているからこそ言い出せない秘密”を抱えた2人の普遍的な愛情を描き出す。フランコ監督の観察眼と緻密な画面設計が高い評価を受けている。
妻・ルシアを失くした喪失感から抜け出せないロベルトと娘のアレハンドラは、新しい土地でやり直そうと、メキシコシティへ引っ越すが、ふたりは心の傷に向き合わないまま他愛ない言葉を交すだけの関係になっていく。アレハンドラは新しい学校で友だちもでき、楽しく過ごし始めるが、酔った勢いで関係を持った男子生徒に行為を盗撮されたのをきっかけに、いじめの標的になってしまう。父親にいじめを相談できないアレハンドラはある日突然姿を消してしまう。
ポスター画像は、「狂気は躊躇を知らない」とのコピーとともに、それぞれの寝室で物思いにふけるロベルトとアレハンドラの姿が上下に分断されたデザインで、父娘の穏やかな日々が失われてゆくのを暗示するかのようだ。
「父の秘密」は11月2日ユーロスペースほか全国順次公開。
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