監督生活50周年、巨匠B・ベルトルッチが完全復活! 10年ぶりの新作が公開
2013年2月6日 06:00

[映画.com ニュース]監督デビュー50周年を迎えた、巨匠ベルナルド・ベルトルッチ監督の最新作「孤独な天使たち」(原題:IO E TE)が、今年のゴールデンウィークに公開することが決定した。2003年に発表した「ドリーマーズ」以来、10年ぶりの新作となる。
「暗殺の森」(70)、「ラストタンゴ・イン・パリ」(72)、アカデミー賞9部門を制した「ラストエンペラー」(87)など数々の名作を発表し、映画史上にその名を刻んできたベルトルッチ監督。「ドリーマーズ」発表後、病のため車椅子生活を余儀なくされ、一時は引退を覚悟したが、車椅子に座ったままの位置から映画を撮ることを模索した。2012年カンヌ映画祭特別招待作品として上映された本作は、ベルトルッチ監督が30年ぶりに母国イタリア語で撮った映画であり、監督デビュー作「殺し」(62)から50周年の節目を飾る記念碑的作品だ。
ガブリエレ・サルバトレス監督作品「ぼくは怖くない」の原作者でもあるニッコロ・アンマニーティの同名小説(河出書房2月中旬刊)が原作。少し風変わりで孤独を愛する14歳のロレンツォは、両親に嘘をつき、学校のスキー旅行に行かずに、まる1週間好きな音楽と本だけで過ごそうと自分の住むアパートの地下で暮らすことを計画する。しかし、思いがけず異母姉のオリヴィアが現れたことで、すべてが一変する……。思春期の少年と年上の異母姉がふたりきりで過ごす7日間の物語。
当初は3Dで撮影する予定で何度かテストが行われたが、監督は2台のカメラを動かすプロセスに時間がかかりすぎると感じたそうで、「多分あと数年のうちには、私もデジタルで映画を撮影することを考えるだろう。だが、あの制御不能の鮮明さに私は耐えられなかった。それまでは35ミリが、あれほど印象派の郷愁を呼び覚ます映像媒体だとは思いもしなかった。だから、なじみ深き親愛なる“ペリコラ”(映画用)フィルムで仕事を続けることに決めたのだ」とフィルム撮影を選んだ理由を語っている。
キャスティングには入念なオーディションを実施し、ジャコポ・オルモ・アンティノーリ、テア・ファルコという新人俳優ふたりを主役に抜てき。デビッド・ボウイが歌う「スペイス・オディティ」のイタリア語版「ロンリー・ボーイ、ロンリー・ガール」が本編を盛り上げる。
ベルトルッチ監督は、原作に対し「たちまち恋に落ちた」と迷うことなく映画化を決意したという。そして、「立っているのではなく座ったままで、この映画を撮影した私は、また自分が走り出したことを感じている。私は70歳を超えたが、今も若いキャラクターや彼らの生命力や好奇心を捉える難しさに魅了され続けているのだ」と語り、完全復活をアピールしている。
「孤独な天使たち」は、2013年ゴールデンウィークにシネスイッチ銀座ほか全国で順次公開。
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