I・バーグマンの遺作「秋のソナタ」公開 フジコ・ヘミングが思わぬ共通点に感激
2012年12月7日 20:10
[映画.com ニュース] 今年没後30年を迎えたイングリッド・バーグマンの遺作で、巨匠イングマール・ベルイマン監督作「秋のソナタ」デジタルリマスター版が12月8日公開される。バーグマンの最高傑作と言われる本作を鑑賞したピアニストのフジコ・ヘミング氏が、感想と共に驚きのエピソードを明かした。
バーグマンが演じる奔放に生きるピアニストの母と、抑圧されて育った娘との壮絶な葛藤を描いた人間ドラマ。「どれだけ月日が経っても色あせない魅力を持つイングリッド・バーグマンとリブ・ウルマンは本物の大女優と呼ぶにふさわしい」とスウェーデンを代表する女優ふたりの対じに称賛をおくるヘミング氏の本名は、イングリッド・フジコ・ゲオルギー・ヘミング。本作の主演、バーグマンと同じファーストネームで、しかもピアニストであることに縁を感じたそうだが、本作とヘミング氏をつなぐもうひとつの共通点があった。
ヘミング氏の関係者は「実はフジコが一番感激していたのは、エンドロールで、クロード・ジェネテーという人がチェロ演奏をしていることを見つけたことです。この人はフジコの6年間のストックホルム在住期間を通じてピアニストとしてのフジコを支援してくれ、放送番組出演を何度もアレンジしてくれた恩人だそうで、彼の名前を見つけてびっくりすると同時にとても嬉しくなったそうです」と明かす。
ジェネテー氏は、スウェーデンの著名な指揮者であり、ヴァイオリン、チェリストとしても活躍。本作では、画面には実際に登場しないものの、バーグマン演じるシャロッテの愛人がバッハ「組曲第4番変ホ長調」のチェロ演奏をするシーンを担当している。スウェーデン人の父と日本人ピアニストの母をもち、日本とヨーロッパを舞台に活躍するヘミング氏にとって本作は忘れ難い作品になったようだ。
またヘミング氏のほか、ベルイマン作品に思い入れの深い二人からコメントが寄せられた。作家の柳美里氏は「母の許されざる弁明と、娘の憎悪と渇望がぶつかり合う。その不協和音に心臓をつかみ出されるのだが、痛みの中、耳もとで響く、その心臓の鼓動は、絶望的な希求として祈りのように息づく」と語り、映画評論家の蓮實重彦氏は「『秋のソナタ』は、その作品をめぐってつぶやかれるだろうありとあらゆる言葉を超えて、それが映画として存在しているというただその一点において、祝福されねばならぬ作品である」と評している。
「秋のソナタ」は現在VHS、DVD版とも絶版となっており、30年の時を経てよみがえるという記念すべき機会にぜひ劇場で味わって欲しい。また、ベルイマン監督の代表作「第七の封印」「野いちご」「処女の泉」をデジタルリマスター上映する「イングマール・ベルイマン特集」も2013年初夏に予定されている。
「秋のソナタ」は12月8日渋谷ユーロスペースほか全国で順次公開。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド
【この最新作を観るべきか?】独自調査で判明、新「アベンジャーズ」と関係するかもしれない6の事件
提供:ディズニー
セプテンバー5
【“史上最悪”の事件を、全世界に生放送】本当に放送していいのか…!?不適切報道か否か?衝撃実話
提供:東和ピクチャーズ
ザ・ルーム・ネクスト・ドア
【死を迎える時、どんな最期を選びますか?】“人生の終わり”と“生きる喜び”描く、珠玉の衝撃作
提供:ワーナー・ブラザース映画
君の忘れ方
【結婚間近の恋人が、事故で死んだ】大切な人を失った悲しみと、どう向き合えばいいのか?
提供:ラビットハウス
海の沈黙
【命を燃やす“狂気めいた演技”に、言葉を失う】鬼気迫る、直視できない壮絶さに、我を忘れる
提供:JCOM株式会社
サンセット・サンライズ
【面白さハンパねえ!】菅田将暉×岸善幸監督×宮藤官九郎! 抱腹絶倒、空腹爆裂の激推し作!
提供:ワーナー・ブラザース映画
激しく、心を揺さぶる超良作だった…!
【開始20分で“涙腺決壊”】脳がバグる映像美、極限の臨場感にド肝を抜かれた
提供:ディズニー