川野直輝「僕の中のオトコの娘」で美少女に変身 初の単独主演果たす
2012年11月30日 15:00

[映画.com ニュース]幅広い作品で着実なキャリアを積み、近年は「踊る大捜査線」シリーズなどへの出演も記憶に新しい俳優の川野直輝が、「僕の中のオトコの娘」(12月1日公開)で初めて単独主演を果たした。今作を“転機となる作品になってくれたら”と語る川野に、個性的な役柄に込めた思いを聞いた。
ゲイでもオカマでもない、性的指向とは関係なく嗜好や選択として男子が女子の格好をする、“女装娘(じょそこ)”。本作は、ごく普通の青年が女装と出合うことで、自らの世界を大きく広げ成長する様子を描いた物語だ。大学卒業後、企業に就職するものの上司に叱責される辛い毎日に悩み、衝動的に自殺を図る謙介(川野)。未遂に終わるものの、それ以来、人との接触を避け部屋に引きこもるようになる。ある日偶然、女装娘の世界を知り、少しずつ興味を抱くようになっていく。
「ストーリーがおもしろくて、すぐに“やりたい!”と思ったんです」と、出演の動機を明かす川野。設定や展開はもちろん、主役の心理描写にも強くひかれたという。役には入りやすかったそうで、「引きこもりという部分は、自分の中にも近い要素がありました。実際引きこもったことはないけど、部屋でずっとゲームやパソコンをやっていた時期もあったので(笑)。感情移入しやすかったです」

スポットライトを当てているのは、あくまで女装娘の世界。しかし、多くの人が主役・謙介の感情に寄り添えるような、不思議な魅力が物語全体にある。「謙介は新たな自分を見つけて生き方を変えていきますよね。きっと誰でも同じような経験はあるはず。何かがきっかけで日常が変わるとか、新しいことを始めるとか。そういう意味で、共感できる部分があるんだと思います」
劇中では、美少女・川野の姿も見ものだ。“かわいい”“キレイ”という言葉には照れた笑顔を見せ、「男でもほめられるとうれしくなっちゃうもんなんですね(笑)。女性っていつもこんな感覚なのかなと思いました。初めて女装して鏡を見た瞬間は、自分じゃないような、不思議で何とも言えない感じ。『おとぎの国のようだ』っていうセリフがあるんですけど、まさにそれに近い気持ちでしたね(笑)」と、貴重な体験を喜んだ。
第36回モントリオール世界映画祭のフォーカス・オン・ワールド・シネマ部門に正式出品もされた本作。脚本も手がけた窪田将治監督には絶大な信頼を寄せる。「すごく熱い人です。クランクインしたばかりの頃はかなりダメ出しもされたんですが、そのおかげで余計なものをそぎ落とすことができました。渇を入れられた感じでしたね。モントリオールで『直輝でよかった、役にハマっていた』と言ってもらえた時は、ぐっと来ました。本当にうれしかったです」
最後に、公開の喜びをかみ締めながらこう語った。「生きていると辛いことがいっぱいあるけれど、誰にでも前向きになれるきっかけがある。そういうものを伝えられたらいいなと思っています」
「僕の中のオトコの娘」は、12月1日から銀座シネパトスほか全国順次公開。
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