玉山鉄二が見据える、遠回り覚悟の今後
2012年11月22日 15:00

[映画.com ニュース] 俳優・玉山鉄二の近年の躍進には、目を見張るものがある。映画はもちろん、ドラマ、CMと引っ張りだこの存在で、あらゆるキャラクターを見事に演じ分ける器用さもあわせ持つ。井上真央主演作「綱引いちゃった!!」では、シイタケ農家を営む青年・熊田公雄を愛嬌たっぷりに熱演。井上をはじめ松坂慶子、浅茅陽子ら女優だらけの撮影現場でも独特の存在感を放った玉山に、話を聞いた。
玉山は、今作で井上扮する大分市役所広報課勤務の西川千晶に一目ぼれし、女子綱引きチームのコーチに就任する、微妙にズレた感覚の持ち主を演じきった。井上との映画での共演は、井上の銀幕デビュー作「チェケラッチョ!!」以来、約6年ぶり。井上の存在は、今作には欠かせないものだったといい「自分が台本を読んだときよりも家族愛、ヒューマンの要素が強くなっていました。真央ちゃんがひたむきで真面目な女性を演じてくださったことが、この映画のストーリーの“骨”になっていた。僕たちとしては軸がある分、自分の行く道を進んで、たまに道から外れたり好き勝手なことをやっても、彼女の“骨”があるから土台がしっかりしていたんですよ」
劇中で、井上とは綱引きチームのコーチとキャプテンとしてメンバーをまとめ上げていくなかで、居酒屋で酒を飲み交わすなど共演シーンは枚挙にいとまがない。かつてと比べて「強さが全然違うというか、セリフや表情にしても、彼女が抱えている心情や意思に説得力があるんです。だから僕なんか年上ですし、周囲の女性メンバーにしたってほとんどが年上なのに、すごく頼りがいがありますよね。安心できるから、頼っちゃうんですよ」と全幅の信頼を寄せる。
30歳を越え、着実にキャリアを積み重ねてきたことで、映画出演も30本を突破した。さらに特筆すべきは、この5年間で14本の作品に彩りを添え、主演からキーパーソンまで、ありとあらゆる役を体に染み込ませてきた。玉山にとって、映画とは「表現のひとつとして、僕の中ではプライベートな教科書だと思っています。映画にたずさわるようになって、本を読み、実際に演じてみて糧になったことはたくさんありましたし、社会に対して思うこともできた。ふだん、あまりフックにかからないことに対して、きっかけをつくってくれる作品もたくさんありますし、人との接し方について改めなければいけないな……といったことも感じさせてくれる。そういうこともひっくるめて、教科書みたいなものだと思うんですよね」と語る眼差(まなざ)しは、どこまでも真摯でまっすぐだ。
個人的に最も訴求したい年代は「中学生や高校生」だという。「その年代って、僕自身も多感でいろんな作品に影響を受けたし、不満もいっぱいあった。不満が不満ではなかったと誤解がほどけるきっかけになった作品もありました。エンタテインメントには、楽しいものを見て楽しいと思うものと、汚いもの、見たくないもの、毒を見て改めなければいけないと思うものがあると感じているんです。自分のなかでは、そういうものをバランスよくというか、作品のメッセージ性を大事にしながら発信できたら、すごくいいなと思います」
さらに、演じる者として5年後、10年後を見据えたときに感じることは「そのときどきに合った感覚とかひらめきを大事にしていきたいから、その瞬間、瞬間の自分に正直にジャッジすることですかね、いま大事にしていることは」と一点を見据えながら説明する。そして、「自分に正直に向き合って、あまり媚びずに作品選びなどをしていれば、遠回りかもしれないけれど絶対に報われると僕は信じているんです。そこで違う自分を出しちゃうと、いろんな仮面で自分を覆って、気が付いたら自分の表情がわからなくなるんじゃないかと。そこに気をつけて、生き方としては下手かもしれないけれど、人生1回しかできないわけですから、それでいいんでしょうね」と打ち明ける姿には、どこにも“慢心”はなく今後の更なる活躍を予感させられた。
「綱引いちゃった!」は、11月23日から全国で公開。
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