綱引きをやったことが無いという人は、少ないだろう。
けれども、その奥深さを知っている人は少ないと思われる競技である。
私も今作を観るまでは、”幼稚園の競技”としか思っていなかった。
が、今作はそういった考え方を見事にひっくり返してくれる。
大分市役所につとめる西川千晶(井上真央)はある日、市長から市のPRのため、ある特命を受ける。
それは、”女子綱引きチームを結成せよ!”というモノであった。
私は知らなかったのだが、平成元年に大分市に大分コスモレディースという造園業を営む女性たちの綱引きチームが結成され、彼女たちは”全日本綱引選手権大会”で何と6回優勝し、その他数多くの大会で優勝したほどのチームにまでなっていったそうな。
今作は、そのチームを着想に製作されたとの事である。(パンフレット丸写し:ちなみにこのパンフレット、中々ユニークである・・)
今作が面白かったのは、千晶の母が務める給食センターが廃止されるという話から、給食センターで働く職員たちで”綱引きチーム”を結成し、全国大会まで出場した場合には、廃止を撤回させるというところからの
給食センターで働く女性たちの様々な生活背景が描かれている所である。
夫々
・夫の失業のため(浅茅陽子)
・未亡人 で、夫の連れ子との関係に悩む・・(西田尚美)
・認知症の父親を介護のため (渡辺直美さん 体型を含め、非常に重要な役柄であった。)
という家庭事情を抱えており、給食センターが廃止となると生活に大きな支障が生じるという、”火事場の馬鹿力エネルギーを出さないといけない”メンバーが綱引き大会に出場するというところからの、あの快進撃にコメディとは分かっていても、少し涙腺が刺激された作品。
<頑張らなければいけない女性たちの”踏ん張る姿”に笑いながらも、勇気を貰った作品でもある。>
<2012年11月29日 劇場にて鑑賞>