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ルパート・エベレット、27年前の名作を述懐 かつてはC・ファースの才能に嫉妬

2012年11月11日 21:45

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ルパート・エベレット
ルパート・エベレット

[映画.com ニュース] ルパート・エベレットが、実在するスパイのパブリック・スクール時代を描いた「アナザー・カントリー」で端正な容姿と演技を披露、日本で「英国美青年ブーム」を巻き起こしたのはいまから約27年前。同作は現在リバイバル公開中で、耽美な作風だけでなく英国社会への痛烈な皮肉を込めた内容も再評価されている。現在はオスカー・ワイルド役で舞台「Judas Kiss」に主演中、来年には同じくワイルドを描いた映画で監督デビューを控えるエベレットが、現在・過去・未来について語った。

「僕はこの作品をとても愛しているし、美しく幸福な思い出が残っているよ」と「アナザー・カントリー」について振り返るエベレット。「細かいことは忘れてしまったが、撮影したのは美しい夏だった。舞台版で初めて成功した役だし、映画の出来もよかったからハッピーだった」

日本では「やおい」文化やボーイズ・ラブというジャンルの先導となった本作だが、男同士の友情に愛を深読みする「やおい」的な見方については「ファンタスティック」とまんざらでもない様子。「これはいわゆるゲイの話じゃない。どちらかといえば僕とコリン(・ファース)演じるジャドについてのラブストーリーで、深い友情の話だからね」

実はこのジャド役にファースを推したのは、エベレットだった。「彼がいい俳優だと思ったから。でも『アナザー・カントリー』で共演したときは、彼とは全然うまくいっていなかったんだ。彼はあまりにも真面目で面白くないやつだと思っていたし、彼の才能に嫉妬していたから。でも30年たったいま、コリンはとてもいい友だちだ。僕も真面目になったしね。彼は明日も僕の舞台を見に来てくれる。彼にインタビューすれば、僕よりよっぽどまともに答えてくれるよ(笑)」

デビッド・ヘアがワイルドの逮捕前後を描いた「Judas Kiss」は、ロンドン公演を経ての英国ツアー中で、来年1月にはウエストエンドでの凱旋公演が決定した。「オスカー・ワイルドというのは非常にロマンティックな人物で、彼の書く物語も好きだが、むしろ彼の人生に興味をひかれているんだ。その狂気にね。彼は感動的で、滑稽で、非常に賢明なのにバカげたことをやってのける。19世紀末から20世紀へ、激しく移り変わる時代の犠牲になった人間のひとりだ」

さらに来秋には、ワイルドの最晩年を描く映画「Happy Prince」で脚本・監督・主演を務めることが決まっている。「この舞台をやったのは、僕が作ろうとしている映画について広く知ってもらい、資金集めをするためだよ。それに、僕自身にオスカーを演じる技量があると証明したかったんだ」

ゲイを公言するエベレットは最近、「ゲイのカップルが代理母を使って親になろうとするのは利己的で最悪」と発言。同性愛支援団体から猛反発を受けた。しかし、この率直さこそが彼の美点でもあることは、上梓したばかりの著作「Vanished Years」でも明らか。「率直であることで損もするけど、それで世界が終わるわけじゃない。自分は正直であるべきだと思うし、うそをついたり取り繕うことはできないんだよ。ただ、僕という人間は信念とは無縁。禅僧みたいに瞬間、瞬間を生きているだけなんだ」(若林ゆり)


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