ホン・サンス監督作の常連 “夫にしたい俳優No.1”ユ・ジュンサンが語る撮影秘話
2012年11月9日 16:00
[映画.com ニュース] 韓国のジャン=リュック・ゴダール、エリック・ロメールの弟子と呼ばれ、仏の老舗映画批評誌カイエ・デュ・シネマで特集が組まれるなど、ヨーロッパで人気の高いホン・サンス監督の近作4作品を一挙上映する企画「ホン・サンス/恋愛についての4つの考察」が、11月10日から始まる。このほど公開される4作品のうち3作品とイザベル・ユペールを迎えた最新作「3人のアンヌ」に出演している俳優、ユ・ジュンサンがホン・サンス監督との現場について話した。
「素朴で謙虚な方。現場で働いている俳優やスタッフにすごく心遣いがあって、大事にしてくれます。その一方で、名誉やお金に関しては全然興味がないのです。私の監督のイメージは、何を聞いてもハハハと笑って受け流しているという印象です」と、監督の人となりを語る。
最初の出会いは「浜辺の女」のオーディション。「そのオーディションというのは、監督と昼間から4~6時間酒を飲むというものでした。監督といろんな話をして、ついに『次の主演はお前だ!』と言ってくれたのですが、ニュースでは別の人の名前が出ていました……(笑)」。ホン・サンスの作品には必ずと言っていいほど、登場人物たちが酒を飲み交わすシーンがあるが、酒席は作品の外でも重要な要素のようだ。
韓国の名優たちがギャラなしでも出演したい監督だと伝わっているが、「本当にギャラはいただけないのです(笑)」と明かす。それでも出演する理由を「60回同じテイクを撮ったこともありますし、撮影中は体力的にはきついのですが、監督の作品に出演すると精神的に自分の細胞がすごく目覚めたような気がする、そういう魅力があるのです」と語る。撮影当日の朝になってから脚本を俳優陣に渡すという、独特のやり方も事実だそうで、「『ハハハ』の撮影中に私が転倒して、その後受けたハリ治療を物語に取り入れたり、その日の出来事に合わせて即興でシナリオを作っていくんだなと、目の当たりにしました」と述懐した。
これまでの作品は、一貫して大人の男女の色恋を軽やかなタッチで描いている。今回公開される唯一のモノクロ作品「次の朝は他人」の、ユ・ジュンサンとキム・ボギョンの雪降る夜の美しいキスシーンは、演じた本人も大満足の出来だという。「妻のいる身としては『よかった』としか言えません(笑)。本当にその女性に対して恋をしていたように、感情が入った美しいキスシーンになったと思います。ちなみに私の妻はそのシーンを見ていませんが(笑)」。
柔和な笑顔で、エネルギッシュに取材に応じてくれたユ・ジュンサンは、ミュージカル俳優としてキャリアをスタートし、その後ドラマや舞台でも活躍。韓国で夫にしたい俳優NO.1に選ばれた。「ミュージカルでは映画やドラマでできない役を演じられるのが魅力です。映画の場合は、演じるキャラクターが気に入れば、ギャラや予算の有無に関係なく出演したいと思っています」と映画出演に対する思いは深く、今後もスクリーンで日本の観客を楽しませてくれそうだ。
「ホン・サンス/恋愛についての4つの考察」は、11月10日からシネマート新宿ほかで全国順次公開。第63回カンヌ映画祭ある視点賞グランプリ「ハハハ」をはじめ、「よく知りもしないくせに」「教授とわたし、そして映画」「次の朝は他人」の4本を上映する。
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