アニメ界の実力者・原恵一監督、木下惠介生誕100年記念映画で実写初メガホン
2012年9月28日 06:00

[映画.com ニュース] 数多くのアニメ作品を手がけてきた原恵一監督が、木下惠介生誕100年記念映画「はじまりのみち」で、初めて実写映画を手がけることがわかった。木下作品を敬愛していることでも知られる原監督は、脚本も執筆。不退転の覚悟で11月を予定しているクランクインに備えている。
木下生誕100年の節目となる今年、「生誕100年祭」と銘打った特集上映やさまざまなイベントが各地で始動。5月の第65回カンヌ映画祭では「楢山節考」、8月の第69回ベネチア国際映画祭では「カルメン故郷に帰る」のデジタルリマスター版が、それぞれクラシック部門で上映されるなど、世界中で再評価の機運が高まっている。
「はじまりのみち」は、今回の生誕100年プロジェクトの中核をなす取り組み。「二十四の瞳」「喜びも悲しみも幾歳月」「楢山節考」などの名作を精力的に発表し、黒澤明監督とともに国民の人気を二分した木下監督は、差別や暴力、戦争を憎み、市井の人々へ深い眼差(まなざ)しをおくった。その原点を探るべく調査を進めたところ、浮上したのは木下監督に盲目的な愛情を注いだ母の姿だった。
今作は、戦時中に木下監督が脳いっ血で倒れた母を疎開させるため、リヤカーに乗せて山越えをしたという実話のエピソードが軸となる。また、血気盛んな映画青年として軍部ににらまれ、松竹を一時離れるきっかけとなった「陸軍」製作時のエピソードを、回想形式で盛り込んでいくという。木下惠介から本名の木下正吉に戻ると母に伝えた失意の木下が、翻意して終戦前に松竹へ戻った真相に、原監督が迫っていく。
若き日に木下監督の特集上映を見て、そのすごさに打ちのめされたという原監督は「作品を見るにつけ、黒澤監督との評価の差が残念だし、不当に思えてならなかった」と述懐。今回のオファーについては、「実写の監督経験はないのでためらいましたが、こんなメモリアル企画に次はないと思い、受けさせていただきました」と語る。
木下監督が病気の母をリヤカーで運んだ道を実際に歩いたそうで、「当時は未舗装だったことを考えると、男ふたりで運んだとしてもどれほど大変だったろうかとため息が出ました。重ねて、その時の木下監督が一時的にしろ、松竹に辞表を出し監督を辞めていたという事実が、この行為を特別なものにしている」と思い至った。それでも「この作品を、巨匠の若い頃の美談にもしたくありません。ある若者の挫折と再生の物語として描くことが、この先につくられることになる木下作品への興味となる。そんな風に考えています」とコメントを寄せた。
「はじまりのみち」は、2013年初夏の全国公開を予定。
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