ベネチア金獅子賞はキム・ギドクの手に 韓国映画が初受賞
2012年9月10日 14:00

[映画.com ニュース] 第69回ベネチア国際映画祭が9月8日(現地時間)の授賞式をもって終了し、栄えある金獅子賞がキム・ギドクの「PIETA」にわたった。韓国映画が最高賞を受賞するのは、世界三大映画祭でも初めてのことだ。「まったく予想もしていなかった」というキムは、感激のあまり壇上で「アリラン」を熱唱した。北野武の「アウトレイジ ビヨンド」は、残念ながら賞を逃した。
ほかの受賞結果は、審査員特別賞にオーストリアの鬼才ウルリッヒ・セイドルの「Paradise: Faith」、監督賞と男優賞は、前評判の高かった「ザ・マスター(原題)」のポール・トーマス・アンダーソンと、主演俳優のホアキン・フェニックス、フィリップ・シーモア・ホフマンがそろって受賞。女優賞にはイスラエル映画で瑞々しい演技を見せた若手ハダス・ヤロン、脚本賞には、五月革命を生きた若者たちの姿を描いたフランスのオリビエ・アサイヤスが輝いた。
全体的には、低予算のアートフィルムに花を持たせるベネチアの伝統を守りつつ、どちらかと言えば下馬評に沿った結果になった。ベネチアには、俳優賞以外はひとつの作品に2冠を与えてはいけないというルールがあるため、審査員長のマイケル・マンは、「それぞれの賞にもっとも適したと思える作品を、審査員メンバーのあいだで長い議論の末に慎重に選んだ。基準としてはエモーショナルで特筆すべき要素のあることがポイントだった」とコメントした。
キムの作品は、かつて息子を捨てた親が、いまは成人になった彼の前に突然現れ、罪の意識を抱えながら息子に尽くそうとする物語。暴力的な描写に始まり、最後はスピリチュアルな領域に至る力強いストーリーテリングで、賞を勝ち取った。また無冠に終わった中では、ブリランテ・メンドーザの「The Womb」が、子どものできない夫婦の微妙な心の機微を描き出し、高い評価を得た。
今年のコンペティションは計18本と例年に比べコンパクトだったが、総じてレベルの高い作品が並び、ディレクター交替後の面目を保った形となった。(佐藤久理子)
Amazonで関連商品を見る
関連ニュース
【第82回ベネチア国際映画祭】社会派作品が目立つコンペティション ホアキン・フェニックスが夫婦で製作参加の「The Voice of Hind Rajab」が高評価
2025年9月6日 09:40
映画.com注目特集をチェック
KILL 超覚醒
【面白すぎてヤバい映画】世界中の観客が熱狂・発狂し、配給会社が争奪戦を繰り広げた“超刺激作”
提供:松竹
ズートピア2
【質問:すみません、今年の冬、どの映画を観たらいいですか?】答え:私は「ズートピア2」を絶対に観ますね!!
提供:ディズニー
人生にぶっ刺さる一本
人生に迷ったとき、この映画が“効く”だろう。すべての瞬間が魂に突き刺さる体験が待っている
提供:ディズニー
ブルーボーイ事件
【日本で実際に起きた“衝撃事件”を映画化】鑑賞後、あなたは“幸せ”の本当の意味を知る――
提供:KDDI
プレデター バッドランド
【ヤバすぎる世界へようこそ】“最弱”ד下半身を失ったアンドロイド”=非常識なまでの“面白さと感動”
提供:ディズニー
てっぺんの向こうにあなたがいる
【世界が絶賛の日本映画、ついに公開】“胸に響く感動”に賞賛続々…きっとあなたの“大切な1本”になる
提供:キノフィルムズ