評論家の町山智浩氏が「ディクテーター」の隠された魅力を解説
2012年9月8日 22:00

[映画.com ニュース] 映画評論家の町山智浩氏が9月8日、奇才サシャ・バロン・コーエンの最新作「ディクテーター 身元不明でニューヨーク」の公開を記念し、都内の劇場でトークイベントを行った。
「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」「ブルーノ」など、風変わりなキャラクターに扮しての社会風刺で世界中の注目を浴びるコーエンが、今作では世界一危険な独裁者アラジーンとして珍騒動を繰り広げる。
世界25カ国で初登場1位の大ヒットを記録しながらも、10カ国以上で公開中止という異例の事態を巻き起こしている超問題作。アラジーンに扮したコスチュームで登場した町山氏は、「コーエンは民主主義のふりをしているアメリカの方がひどいと、アメリカをからかい続けている人。イギリス人なのでアメリカを外側から見て分かることも多いのだと思う」と解説。また、「ソ連が解体した時に独立したトルクメニスタンという国の話を聞いて、コーエンはこの映画を作ったらしい。独立したものの100年以上ロシアに組み込まれていたので、国のアイデンティティがない。そこで突然『リーダーになる!』と言い出した人が終身大統領になっちゃったという話がもとになっている」と製作の経緯を説明した。
コーエンは今年のアカデミー賞のレッドカーペットで、故・金正日総書記の遺灰を模してまくという前代未聞のパフォーマンスでも話題を集めたが、「コーエンは金正日を、生まれた時から独裁者に甘やかされて育てられ、何も知らなかっただけで、悪い人じゃないんじゃないかとネタにしている」と説いた。さらに、「コーエンの偉いなと思うところは、アメリカは民主主義でおかしくなったと主張しているところ。わずか1%が富を独占していること、嘘の理由でイラク侵攻を始めたことなど、そういう状況を国民が選んでいるのだと言っている。現にヒトラーも、クーデターを起こしたわけでもなく(当時の)ドイツ国民が選んだ人。大衆はインテリじゃないからバカげた選択をする。民主主義というのは独裁者を生むものなんだと訴えている」と熱く語った。
「ディクテーター 身元不明でニューヨーク」は現在公開中。
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