西川美和監督、学生の多様な結婚&恋愛観に興味津々
2012年8月23日 20:33
[映画.com ニュース] 映画「夢売るふたり」の学生限定試写会が8月23日、都内で開催され、上映後に西川美和監督を迎え“学校では教えてくれない人間/男女の本性”と題した学生150人との座談会が行われた。
火事で全てを失った夫婦が結婚詐欺を画策。妻が計画し夫が仕掛けるという手法で次々と女性から金を巻き上げていく過程で男女の本性があぶりだされていく。
西川監督は学生を前に「いわゆる“結婚適齢期”を超えた人々を題材にしている映画なので、そこに至るまでの若い人がどう見てくれたのか楽しみです」と挨拶。実際、学生たちが語る映画の感想を監督が熱心に書きとめている姿も見られた。
夫の貫也(阿部サダヲ)を結婚詐欺へと仕向ける妻の里子(松たか子)は悪女か? という点について西川監督は「里子は日本でかつて一般的だった良き妻の典型だと思ってます。うまくいく夫婦は妻が夫を手のひらで転がすもの。これまではそういう夫婦は男性を中心で描かれており、女性は賢く健気な存在だった。でもそんな女の中にもズルさや打算やのど元まで出かかっている叫びがある。女性の中に巣食っているものを描きたかった」と明かした。
事前に客席には「YES」と「NO」のうちわが配られており、映画に沿った質問に学生たちが二者択一で回答。「だます男を許せるか?」「浮気の経験」、「愛と金のどちらが大事か?」といった問いへの若い世代の生の声を監督は興味深そうに聞き入っていた。
映画では、男女のドロドロした内面、愛だけでは割り切れない結婚生活が描かれる。この映画を見ても結婚したいと思うか? という問いに対し、思いのほか多くの学生が「YES」と答えたことに監督はホッとした表情。「私も未婚ですが最近、向田邦子さんの対談集に『結婚しないというのはたった一人で死ぬ覚悟をすること』とありました。重い言葉ですね」と満面の笑みを浮かべ笑いを誘っていた。一方で「絶対に結婚したくない」と語った学生の意見に「自由でいたいという意見が若い世代から聞けるのを心強く感じます。みなさん、私が学生のときより考えてるなと思います」と多様な意見を喜んでいた。
質疑応答では、西川監督が学生に「学生のみなさんにとって映画館で映画を見るってどういうこと? シネコンでエンタメ作品を見る以外に映画館に行きますか?」と質問。中には高校時代からミニシアターに行っているという学生もいたが、多くの学生がシネコンで大作を見るのが中心のよう。この現状に監督は「大学生のみなさんが“わかりやすい”ものしか見ないというのは寂しい気もします。学生時代は何をやってもいい貴重な時間。社会に出る前に分かりにくいものや、えもいわれぬ感情をぜひ頭に叩き込んでほしい。そうすれば解釈能力や幅も広がると思います」と呼びかけた。
「夢売るふたり」は9月8日より公開。