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西田敏行、震災映画に主演 報道で伝えられなかった“真実”描く

2012年8月7日 16:20

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君塚良一監督作「遺体 明日への 十日間」に主演する西田敏行
君塚良一監督作「遺体 明日への 十日間」に主演する西田敏行

[映画.com ニュース] 昨年3月11日に発生した東日本大震災の被災の様子が、初めて劇映画として製作されることがわかった。俳優の西田敏行が主演を務め、岩手・釜石の遺体安置所を舞台にした君塚良一監督作「遺体 明日への十日間」だ。

原作は、石井光太氏が約3カ月の被災地取材をまとめたルポルタージュ「遺体 震災、津波の果てに」(新潮社刊)。これまで、震災をテーマにしたドキュメンタリー映画は製作されているが、劇映画として真正面から取り組むのは初めて。製作するフジテレビの亀山千広常務取締役は、遺族の心情を鑑みれば躊躇(ちゅうちょ)する気持ちもあったという。しかし、君塚監督、石井氏が釜石入りした際、被災者から「思い出したくはないけれど、このまま風化させたくない。伝えてほしい。どうか忘れないでもらいたい」と言葉をかけられ、製作を決意した。

被災地・福島出身の西田は、自らも被災しながらボランティアとして遺体安置所の世話役を務める相葉常夫を演じる。原作を読んだ当初は出演を迷ったというが、「被災された方々の本当の気持ちや真実は、逆に劇化することによって“事実”とは違う“真実”が引き出せるのではという思いが沸き立ってきた」という。

映画は、西田扮する相葉をはじめとする釜石市民の姿を通し、遺体や遺族と向き合った被災者の姿に焦点を当てる。命を取り留めた被災者は、混乱状態にあっても市民の遺体の搬送、検死など辛い役割を担わねばならなかった。それでも相葉は、遺体に優しく語りかけていく。そんな姿に、周囲の人々の気持ちに変化が生じる。ひとりでも多くの遺体を人としての尊厳を守りながら、一刻も早く遺族のもとへ帰してあげたい。彼らがどのような思いを胸に抱いていたのか、その“真実”を描く。

今作には、製作意図に賛同した緒形直人勝地涼國村隼酒井若菜佐藤浩市佐野史郎沢村一樹志田未来筒井道隆柳葉敏郎ら豪華俳優陣が結集。また、第36回モントリオール世界映画祭ワールド・グレイツ部門に正式出品が決まったことも発表された。

遺体 明日への十日間」は、2013年3月公開予定。

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