原田芳雄さん主演作「ナイン・ソウルズ」9年ぶりに再上映決定
2012年4月17日 07:00
[映画.com ニュース] 昨年7月19日に肺炎のため死去した原田芳雄さんが2003年に主演した映画「ナイン・ソウルズ」が、6月23日からニュープリントで9年ぶりに再上映されることが決まった。1周忌となる7月19日には1000円興行を行い、共演者らが登壇して原田さんをしのぶトークショーが行われる予定だという。
豊田利晃監督がメガホンをとった同作は、「ポルノスター」「青い春」に続く青春3部作の完結編。9人の脱獄者の逃避行を、絶望と希望、哀切と痛切が交錯する映像タッチで描く。父親殺しの罪で服役した金子未散(松田龍平)は、刑務所で9人の男と出会う。元偽札王と名乗る山本(國村隼)は富士山麓に大金を隠したという秘密を打ち明けたまま、精神が錯乱。残された9人はその金を目指して脱走する。
今作で原田さんと初共演を果たした松田は、「自分にとって特別な思い入れのある作品が、9年ぶりに再公開されることをうれしく思います」と喜びのコメントを寄せている。豊田監督は、撮影時の原田さんの姿を述懐。意図的に距離を置いていたそうで、「この映画では懐の深さはいらない。優しさもいらない。怖さが欲しかったので、いらつかせるように追い込んでいった」という。それでも、撮了後には「『またイチから始めないといけないことを気づかされた』と感想をのべていました。その言葉を聞いたとき、芳雄さんの懐の深さに驚きました。勝ったと思っていたけど、やっぱ負けたかな」と話し、早すぎる死をしのんだ。
公開に向け、ポスターやチラシも一新される。メインチラシ1種のほか、主要キャスト1人ずつに焦点を当てた“16種類”の枚数限定チラシ(http://www.littlemore.co.jp/9souls/garelly/)を制作。4月中旬から公開館のみで入手することができる。さらに、「ナイン・ソウルズ」にちなみ、9のつく7月9日も1000円興行を行うことが決定している。また、日の出出版から原田さんのタイトル未定の年代記が発売される予定。
ニュープリント版「ナイン・ソウルズ」はリトルモアとヨアケの共同配給で、6月23日から7月20日まで東京・渋谷のユーロスペースで公開。