G・クルーニー、70年代の名作の影響を受けた監督最新作を語る
2012年3月31日 16:50
[映画.com ニュース] ハリウッドを代表する名優ジョージ・クルーニーが、政界の闇に直面した若き政治活動家を映し出した監督第4作「スーパー・チューズデー 正義を売った日」が、3月31日に公開された。自らメガホンをとり脚本も兼ね、第84回アカデミー賞では脚本賞にノミネートされ、話題を呼んでいる。俳優として、監督として自分の道を築き上げてきたクルーニーに話を聞いた。
広報官スティーブン・マイヤーズ(ライアン・ゴズリング)は、カリスマ的人気を誇るマイク・モリス(クルーニー)知事のもと才能を発揮し、将来を約束された有望な活動家だった。しかし、ライバル陣営から極秘面会を持ちかけられたことをきっかけに、壮絶な駆け引きに巻き込まれていく。
クルーニーは5年の歳月を費やし、2004年の民主党大統領予備選で、ハワード・ディーン候補の選挙スタッフとして活動したボー・ウィリモン氏の戯曲「ファラガット・ノース」の映画化にこぎつけた。実体験をベースにした権力争いのなか、理想と現実を浮き彫りにすることで、正義というモラルを問いただす。
さまざまな視点から“対権力”を描いた「候補者ビル・マッケイ」(マイケル・リッチー監督)、「大統領の陰謀」(アラン・J・パクラ監督)、「ネットワーク」(シドニー・ルメット監督)など70年代の名作の影響を受けたそうで、「3本の映画には1つの共通点がある。それは、観客の質問すべてに答えないということだ」と分析。そして、今作では「自分で考え、注意を払って、この映画の一部であることを楽しんでもらいたい。そういうものを語り口に残そうと心がけた」。
自ら演じたモリスというキャラクターは、清廉潔白な英雄ではなく、人間くささを持たせた。「公職選挙に出馬する人間として、真実味のある演技をしなくてはならない。立候補者のポスター撮影も、自分自身をどう見せるかは俳優より大変なんだ。政治家を演じるにはエゴが要求されるから、難しい半面いいことでもあった。僕は自分に挑戦するのを楽しむタイプだからね」と手ごたえを語った。