蓮佛美沙子、意欲作「RIVER」にかけた思い「戸惑いから覚悟へ」
2012年3月9日 14:20

[映画.com インタビュー] 「ヴァイブレータ」「余命1ヶ月の花嫁」「軽蔑」の廣木隆一監督が、実在の秋葉原無差別殺傷事件を題材に、ある少女の再生を描いた最新作「RIVER」。これまで数々の女優の魅力を引き出してきた廣木監督が今回主演に抜擢したのは、大林宣彦監督作「転校生 さよならあなた」で鮮烈な印象を残した若手注目株・蓮佛美沙子。念願だったという廣木作品にかける思いを語ってもらった。
2008年6月に起きた秋葉原無差別殺傷事件で恋人を失った少女が、秋葉原の街をさまよいながらさまざまな境遇の人々に出合い、葛藤しながらも再生へ向かって小さな一歩を踏み出していく姿を丹念に描き出す。クランクイン直前に東日本大震災に見舞われ、製作そのものが危ぶまれた。しかし、廣木監督の強い意志のもと脚本は急きょ改稿され、“震災後の日本”を映し出す作品へと変更された。
「私もリアルタイムで見ていた秋葉原の事件を元にしていたし、それに加えて震災の映像やエピソードが入ることで、見る人はどう感じるのだろうという思いはありました。そもそも『いま映画を作っていていいのかな?』とか、『私に何ができるんだろう』って戸惑いが最初は強かったです」と率直な胸の内を明かす。それでも「最初はどういうふうに向き合えばいいのか、戸惑いを抱えたまま現場に向かいました。だけど、監督の『オレは今、これを撮らなければいけないんだ』って思いを肌で強く感じて、私もこの仕事をしている人間として何ができるんだろうと考えました。そして、今目の前に誰かの救いになれるかもしれない希望をもつ作品があるなら、とにかく頑張るしかないって。現場に入って、戸惑いが覚悟に変わりました」と女優としての決意を固めた。

若い女性の機微の描写に定評のある廣木監督だけに、今作で描かれるのも事件の核心ではなく、ひとりの少女のゆるやかな心情の移り変わりだ。「本読みをした時に、『その芝居見たことあるな』って監督に言われたんです。『セリフは覚えてこなくていいし、言いたくないセリフだったら言わなくていいから』って。そんなこと言われたことなかったので驚きました。監督のその言葉から、こういう風にしたいって欲をもって芝居したらこの作品はダメなんだなと私なりに解釈しました」。その後も、廣木監督から見守られている感覚を抱いていたそうで、「何も言われないことが不安な時もあったけど、ラストシーン撮影の前に『蓮佛さんは気持ち作るの早いよな』ってボソッと言われ、『いま、もしかしてほめられたのかな!?』ってうれしかったです。たぶん、監督はすっごくシャイなんだと思います(笑)」と意外な一面を明かした。
事件性を描いた作品ではないが、実在の事件を扱うという重みは変わらない。「実際に大切な人を亡くしてしまった人の気持ちを想像しながら、何とか自分の中で消化して、自然にその気持ちが心にある状態を作ろうとしました。大袈裟にではなく、ひとりの人間が自然な流れでもうちょっと生きてみようかなって、リアルな過程が描かれていると思います」。奇しくも震災からおよそ1年後となる3月10日に公開を迎えるが、「いくら何度もニュースで見ていたとはいえ、震災直後の映像を大きなスクリーンで見て、言葉を失いました。良くも悪くも時間って流れていっちゃうもの。だけど、忘れちゃいけないことがあるってことを改めて感じました。何が正しいのか分からない状況で、最後まで監督についていってよかったなと思っています」と清々しい面持ちだった。
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